美侍

引っ越す時に要注意!賃貸生活に必須の知識、敷金トラブルの回避術とは

新生活を始める皆さんの中には初めて賃貸住宅を借りるという人も多いのではないでしょうか?賃貸におけるトラブルの中でも特に注意しておきたいのが敷金に関する問題です。今回は、敷金の定義からトラブルを回避する方法まで詳しくご紹介します。

敷金とは何か

初期費用の中でも戻ってくる可能性のあるお金

敷金トラブルの回避術を学ぶ前に、敷金とはどのようなお金なのかを確認しておきましょう。
賃貸住宅を借りるときは、家賃の数か月分を用意するのが当たり前になっています。
これは、仲介手数料や敷金、礼金といった初期費用を払う必要があるからです。
この初期費用のうち、敷金は預け金のような性質を持っています。
つまり、基本的には帰ってくるお金なのです。
返ってこないのは貸主側が修繕などのためにお金が必要になった場合のみに限られます。
つまり、お部屋を借りたときの状態と全く変わらない姿で退去出来れば、原則として敷金は戻ってくるのです。

敷金の制度は貸主を保護するための制度でもあります。
借主が部屋の備品を破損したにも拘わらず、それを全て大家さん側が負担していては賃貸経営が成り立たないのです。
敷金を預かっておくことで、部屋を綺麗に使うという意識を借主に持ってもらいながら、修繕費用を確保することが出来ます。

貸主にとってみれば、借主さんの審査をしても金融機関ほどの審査は出来ませんし、借主さんが入居中に解雇や転職など、何が起きるか予測も付きません。建物の改修や建築などの銀行融資を受けていたり、アパート経営が生活の基盤になっている貸主さんの場合、敷金が唯一の担保。

出典:https://uchicomi.com/senden/column/?p=394

礼金との違い

敷金とよく混同される制度が礼金です。
礼金はいわゆる持参金のようなもので、部屋を貸してもらうことに関する感謝という意味が込められています。
礼金に関しては返ってくるということがあり得ません。
不動産業者に払う仲介手数料に関しても同様です。
敷金とは賃貸に関する初期費用の中でも、貸主側が気を付けていれば戻ってくる可能性がある貴重なお金といえます。
返ってくるという性質ゆえに、借主と貸主側で返金額に関するトラブルがよく起きるのです。

礼金は支払い後に返還される事は一切ない

古い習慣でもあり入居にあたって大家への挨拶、手土産、お礼という意味が込められています。

礼金の金額は仲介業者によって異なります。

大家と懇意である事から契約にあたって礼金の減額を交渉してもらえる場合があります。
大家としても礼金を減額する事で入居が決まり今後家賃収入が見込めるため交渉に応じるのです。

出典:http://www.hikoshi-lab.com/3540

敷金が返ってこない、または返金額が減少するケース

「原状回復」を超える汚れや破損

敷金の性質を理解すると、どのような場合に敷金の返金額が減少するのか予想がつくと思います。
キーワードとして覚えていただきたいのが「原状回復」です。
原状とは「経年劣化など日常的に生活したうえで摩耗してしまった状態」のことをいいます。
借主が故意や過失によってこの原状を超える汚れや破損を賃貸住宅に残した場合、貸主は敷金を用いて修繕することが許されています。

まずは、「原状回復」の基本的な考え方から。 国土交通省から出されている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・ 過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人の負担とされています。 ざっくり言うと、「畳が日に焼けた」などの経年変化や、通常の住まい方、使い方をしていて生じた汚れや傷みをなおす費用は、貸主の負担ということ。

出典:https://www.homes.co.jp/hikkoshi/cont/info/restoration/

例えば、窓から入る日差しによって壁紙が日焼けしてしまったという場合には、日常的な生活による損壊ですから借主の負担にはなりません。
一方で、借主が誤って玄関の壁に傷をつけてしまった場合には、借主の過失ということでその傷を直すために敷金が使われることもあります。
借主と貸主の「原状」に関する認識が異なると、敷金トラブルを招きやすいのです。

敷金精算などにおける原状回復費用の借主負担部分となるのは、故意・過失により汚損や破損した部分となります。

ただし借主負担部分となるのは、クロスや設備などの「残存する価値のみ」となっております。

出典:http://nextlife-sendai.co.jp/2014/10/23/keinenn/

敷金償却の契約

賃貸契約を結んだとき、契約書に敷金償却という文字があった場合には、敷金が返却されません。
この場合には、部屋がどのような状態になっているかに関係なくクリーニング代や修繕費として敷金が徴収されることになります。
この点を借主側が理解していないことも、トラブルの原因の一つです。

まず、契約書に例えば「敷金2ヶ月(1カ月分償却)」と書いてある場合、間違いなく敷金の1カ月分は戻ってきません。敷金償却とは、敷金のように原状回復のために修繕費やクリーニング費にあてるものの、償却分は一切返却しませんよ、というものです。いくらクリーニング費や修繕費を押さえようと生活しても、この償却分の1カ月はどうしても大家さんからは返却されないし、修繕費が家賃1カ月分以上かかるのであればさらに敷金から引かれるということになります。

出典:http://hikkoshi-ojisan.info/deposit/1132/

敷金に関する特約

償却という文字がなかったにしても、敷金に関する特約を結んでいた場合には退去時に敷金が戻ってこないこともあります。
合理的な理由があり、借主が内容を理解したうえで了承した場合にはこうした特約は有効になるのです。
この特約を巡って敷金トラブルが繰り広げられることも少なくないのです。

退室時に、補修代全額を請求されて抗議すると、不動産会社が「契約書の特約にある」と言いました。

契約書を確認すると「特約:原状回復費用はすべて乙 (借り主) の負担とする」と書かれていました。

この場合の対応について説明します。

最初に、ふつうに使用して発生した汚れ(自然損耗分)を借り主に負担させる特約は次の条件を満たした場合にかぎり有効です。

①その特約が暴利的でなく、かつ合理的な理由が存在する。

②賃借人が特約の内容を理解している。

③賃借人が特約を了承している。

法律の考え方に反する契約条項でも、本人が確実に了解している場合は、負担させてもよいという考え方です。

出典:http://chintaiacchi.com/p47.html

敷金トラブルを回避するには

入居時の部屋の様子を確認

原状回復に関するトラブルの例としてよく見受けられるのが、部屋の壁にある傷がいつ生まれたのかという問題です。
借主側は自分が付けたわけではないということを確信していても、大家さんに「借主側に貸すまではこんな傷がなかった」と主張されてしまうと堂々巡りの議論になってしまいますよね。
こうした事態を回避するには、入居時の部屋の状態を大家さんと一緒に確認しましょう。
部屋の中にあらかじめ損壊があったら、それを大家さんに示した後、写真に残しておきます。
こうすれば、部屋の傷に関して借主が原因なのかがハッキリするからです。

退去時の清掃をしっかり

借主側が部屋を雑に扱ったせいで汚れや傷が蓄積し、退去時のクリーニング代が上積みされるというケースも少なくありません。
これに関しては、日頃から綺麗に部屋を使っておくことで回避可能な敷金トラブルといえます。
油汚れやカビといった汚れを放置し過ぎると、「原状」を超えた損壊として敷金が減額されることもあるのです。
こまめに清掃をすることで、敷金を少しでも多く返してもらいましょう。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「台所の油汚れ」や「ガスコンロ置き場、換気扇の油汚れ」「風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ」などについては、「通常使用による損耗」にあたる場合と、そうでない場合があるとしています。

例えば、台所の油汚れの場合、雑巾で拭いて落とせる程度であれば、費用を負担する必要はありません。しかし、油汚れを掃除せずに放置し、こびりつかせてしまった場合は、原状回復の費用を負担しなければならない可能性があるのです。つまり借主は、汚れたら掃除をしなくてはならず、掃除をしなかった結果の汚損の場合、原状回復の費用を負担することになります。

出典:https://www.zba.jp/hikkoshi/cont/cleaning-before-moving/

契約時に特約をチェック

最後に注意したいのは、敷金に関する特約です。
償却という文字が契約書に入っていないかはもちろんのこと、特約の部分で敷金という文字を見かけたら、内容に関して必ず問うようにしましょう。
もしこちらが不利になるような特約が記載されているなら、そのことを指摘したうえで賃貸契約を結ぶかどうか考え直すのも一つの手段です。
内容を確認しないまま特約を了承してしまうというのが、特約に関する敷金トラブルの引き金なのです。
契約内容をよく読むというのは賃貸以外においても重要なことなので、ぜひ実践してください。

賃貸借契約書においては、原状回復特約は、「賃借人は、明渡しの際には賃借人の費用をもって物件を契約開始時の原状に回復しなければならない」などと記載されていることが多くあります。
 一般的ににはこのような特約は、賃貸人の故意・過失による建物の毀損や、通常でない使用方法による劣化についてのみ、その回復を義務づけたものと解されています。この特約の存在そのものをもって、賃借人に対し、例えは賃貸借契約締結時の状態に建物を回復する義務を負わせるものではありません。

出典:http://www.zeroa-o.com/cat26/cat16/2010/04/post-16.html

敷金トラブルは防げる

敷金に関する知識は、賃貸生活をしていくうえでずっと必要になります。
新たな門出の際に返ってくるお金を少しでも多くするためにも、敷金トラブルを回避していきましょう。