美侍

夏バテにも美味しい「すいとん」の作り方♪ 栄養満点、種類もいろいろ!

「すいとん」とは、日本人になじみの深い料理です。小麦粉を小さく丸めたものを煮汁と一緒にすすると、なんとも素朴な気持ちになります。「すいとん」は身体がぽかぽかになる、とくに冬に美味しい料理。でもこの時期に「思い出したい」料理でもあるんですね。夏バテにも効果が期待できる「すいとん」。レシピや効能、すいとんのあれこれをあらためて調べてみました。

夏バテに「すいとん」はいかが?

みなさん、夏バテはしていませんか?
「暑い日には熱いものを食べよう」とはよくいわれますが、たしかにそう。

冬によく食べられ、身体の内側から熱〜くなる「すいとん」という料理がありますが、今回はそれをこの夏におすすめしたいと思います。

夏バテに「すいとん」をおすすめする理由は3つ。

1 熱いけれど食べやすいから

「すいとん」は汁ごと食べる料理。
だから、「すでに夏バテで食欲がない〜」という人にも受け入れられやすい料理なんです。

暑いときに熱いものを食べることが夏バテにいいのは、冷房などで芯が冷えきっている身体に働きかけるから。
熱い汁物が芯から身体をあたため、乱れた自律神経を整えてくれるのです。

2 作るのが簡単だから

「すいとん」の作り方は簡単。
小麦粉の生地を手でちぎって丸めたり、匙ですくうなどして汁で煮ます。

これだけ!これくらいなら、だるくても作ってみようかなーっていう気になりますよね。

作り置きもOK。
冷蔵庫や冷凍庫をうまく利用しましょう。

3 アレンジ次第でいろんな栄養がとれるから

「すいとん」はとってもシンプルな料理。
失敗することはほぼないといっていいでしょう。アレンジし放題です。

ちなみに、夏バテのときに積極的に摂りたい栄養素はおもにこの2つ。

●ビタミンB1
豚肉、豆腐、ゴマ、枝豆などに含まれています。
ビタミンB1は、炭水化物が含む糖質をエネルギーに変える働きや、代謝をよくする疲労回復のための働き、食欲増進の働きをします。
アリシンを含むニンニクやネギと一緒に食べましょう。

●ミネラル
ワカメ、のり、ピーナッツ、納豆、牛乳など。
ミネラル不足はそのまま代謝障害を引き起こしやすいのです。
ミネラルは、だるさや疲労といった夏バテの典型的な症状を防ぎます。

いずれも、すいとんに入れる具材で十分に摂ることができるものばかりです。

では、具体的なレシピを見てみましょう!

すいとん基本レシピ 豚肉のビタミンが夏バテに効く

■材料(2人分)
●小麦粉100g
●水50cc
豚肉 50g
ごぼう 1/3本
にんじん 1/5本
しいたけ 2枚
長ネギ 1/2本
サラダ油 適量
昆布出汁(もしくは水) 800cc
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
塩 少々

■作り方
1.「すいとん」を作ります。
小麦粉を入れたボウルに水を入れ、よくこねます。

2.1のボウルに軽くラップをして、30分以上寝かせます。

3.鍋にサラダ油を引き、一口大に切った豚肉を炒めます。
出汁→しいたけ→千切りかささがきのにんじん→千切りかささがきのごぼう、の順で投入。

4.調味料をすべて投入。そのまま沸騰させます。

5.2の、寝かせておいたすいとんを一口大に薄くのばし、ちぎりながら4の鍋にどんどん投入。
すいとんの色が黄色っぽくなったら火が通った証拠。

6.仕上げに長ネギを散らして出来上がり。

すいとん応用レシピ 野菜と味噌でスタミナ!

■材料(2人分)
●小麦粉100g
●水50cc
ベーコン 50g
にんじん 適量
じゃがいも 適量
ブロッコリー 適量
サラダ油 適量
昆布出汁(もしくは水) 400cc
味噌  適量


■作り方
1.「すいとん」を作ります。
小麦粉を入れたボウルに水を入れ、よくこねます。

2.1のボウルに軽くラップをして、30分以上寝かせます。

3.2.の生地を3mmほどの厚さに綿棒でのばし、幅2cm、長さ数cmほどの短冊型に切って、全体に打ち粉をしておきます。

4.鍋にサラダ油を引き、ベーコンを炒めます。

5.ベーコンに火が通ったら出汁(もしくは水)やほかの野菜を投入。2.のすいとんも加えます。

6.出汁に、味噌を少しずつ加えて味をととのえましょう。

7.6を器に盛り、色どりとして別茹でした粗みじんのブロッコリを散らしてできあがり。

「すいとん」の歴史

「すいとん」は多くは冬に食べられる煮込み料理。
でも、日本人にとっては、この時期だけは特別にふっと思い出してしまう料理なのです。

すいとんを食べる地域は、冷害やききんの多かった山間地に多く、お米の収穫の少なかった地域に多く見られる。
 また、戦中戦後の食糧事情の悪い時期には米の代用食として食された。簡単に作れ、体もあったまることから空腹を満たす目的で作られたが、現在のようにダシもとらず具もほとんど入らないすいとんは、あまりおいしくはなかったと言われる。その時代のすいとんを知る方は、すいとんと聞くだけで拒絶する方もいるといいます。

出典:http://www.city.matsudo.chiba.jp/profile/siminkensyo/heiwatosi-sengen/heiwa-event/shokujitaiken/h18sentyusyoku-re.html

「すいとん」は戦前、戦時中、戦後、また関東大震災という激動の記憶と重なる料理なんですね。

郷土料理として愛される、現在の「すいとん」

もちろん、本来の「すいとん」はそのような戦中食や代用食ではなく、各地の食文化に根差した、心もおなかも温まる郷土料理です。

そしてその作り方も、地方によって、あるいは各家庭によって実にさまざま。
手間をかけようと思えばいくらでもかけられますし、味噌汁風味のもの、雑煮風味のものなど、たくさんのバリエーションがあります。

強力粉を使った煮崩れしない「すいとん」から、とろとろの「すいとん」までさまざま。

地方によって呼び名が異なるのもおもしろいところ。
「ひっつみ」「とってなげ」(旧盛岡藩領の岩手県北地域)
「はっと」(福島、宮城等の東北地方)
「つめり」(旧仙台藩領・江刺郡地域等)
などと呼ばれるそう。

宮城県から岩手県にかけては「はっと」と呼ばれ、水で練った小麦粉を薄い麺のように加工するそう。
青森県・岩手県などの「ほうとう」は手延べうどんのよう。
「ほうとう」は山梨地方でも知られる料理名ですね。
それぞれ現地を訪れて、それぞれの名物料理を味わってみたい気もします。

昔も今も、いろんな思いとともに食べられ、愛されている「すいとん」。
自宅で作るもよし、各地に食べに出かけるもよし。
ぜひとも、この夏味わってみてください。