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男が憧れる探偵を生み出した作家「チャンドラー」ってどんな人?

かつて多くの男性たちが憧れた、渋くてカッコいい探偵「フィリップ・マーロウ」を生み出した偉大なハードボイルド作家「レイモンド・チャンドラー」。しかし、一体どのような人物だったのでしょうか?今回は「チャンドラーって誰?」「フィリップ・マーロウシリーズは読んだことないけど、どんな探偵なの?」とちょっと気になったあなたのために、チャンドラーの功績や男なら知っておきたい!フィリップ・マーロウの生き様や名言などを詳しくまとめてみました。

アメリカ大衆小説に影響を与えた!ダンディー作家「レイモンド・チャンドラー」とは

まず、作家である「レイモンド・チャンドラー」の功績についてお話し致しましょう。
チャンドラーは1888年、米国シカゴ生まれ。
元々石油会社に勤めて仕事をしていましたが、世界恐慌が起こり職を失ったため、それをきっかけに推理小説を書き始めたそうです。
処女作は1933年にパルプマガジン(大衆向けの読物雑誌)に掲載され、後にハードボイルド探偵の代名詞となった「フィリップ・マーロウ」シリーズを生み出しました。

フィリップ・マーロウはシャーロック・ホームズと並び立つ有名な探偵となっていますが、特にアメリカではハンサムながら親しみやすく、市民の代表的な存在として愛されました。
チャンドラーの文体は美しく情感に満ちており、謎解きよりもそれぞれのシーンの味わい深さ、読後の余韻を楽しむべきだという声もあるほど。
アメリカ大衆文学に多大な影響を与えたとされており、1959年に70歳で没した後、すでに50年以上経過している現在でも、代表的なハードボイルド作家、ミステリー作家としてよく名前が挙がる人物です。

チャンドラーは、1933年から活動していたアメリカの大作家!

アメリカの推理作家。ハードボイルド推理小説のエスプリに到達した作家として世評が高い。1933年に最初の作品をパルプ・マガジンに発表し、39年の『大いなる眠り』で高い評価を得たが、探偵フィリップ・マーローはこのときの創造である。54年にエドガー賞を受賞した『長いお別れ』は彼の最高傑作といわれ、その凝縮された描写、皮肉な会話、サスペンスと暴力の漂う雰囲気、構成力のあるプロットなどで都会的文学性を漂わせている。

出典:https://kotobank.jp/word/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC(Raymond+Chandler)-1562661

没後50年以上経つ今でも、ハードボイルドを代表する作家として知られる!

 昨年、26年ぶりに刊行された文藝春秋『東西ミステリーベスト100』では、ハードボイルドや冒険小説が軒並み順位を落とすなか、レイモンド・チャンドラーは6位に『長いお別れ/ロング・グッドバイ』、79位に『さらば愛しき女(ひと)よ/さよなら、愛しい人』がランクインし、衰えぬ人気を見せつけた。チャンドラーは没後50年が経つ今も、ハードボイルドを代表する作家なのだ。

出典:http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130110/1357775857

代表作は私立探偵「フィリップ・マーロウ」シリーズ!

チャンドラーの文体はアメリカ大衆文学に大きな影響を及ぼし、ダシール・ハメットやジェームズ・M・ケインといった他の「ブラック・マスク」誌の作家と共にハードボイルド探偵小説を生み出したとされている。彼が生み出した主人公フィリップ・マーロウはハメットのサム・スペードと共にハードボイルド系「私立探偵」の代名詞とされている。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC

男前ながら親しみやすく、アメリカ人には「ホームズより愛された」探偵!

チャンドラーは、フィリップ・マーロウという探偵を通じて、退廃した人々やアメリカの姿を描き、その感傷を含んだ文体は多くのフォロワーを生んだ。ロス・マクドナルドはその代表で、探偵リュウ・アーチャーはさながらカウンセラーのように「病んだアメリカ」に相対し続ける。

こうしたハードボイルド・ミステリの底流には、英国が生んだパズラー的なミステリへの反発があった。ホームズに代表される超人的な探偵や、複雑で現実離れしたトリックは、「特権階級的である」としてアメリカ人の心性に馴染まなかった。ハードボイルドの探偵は、おしなべてディレッタントではなく、しばしば卑俗的な「市民の代表」である。

出典:http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89

情感豊かで美しい文章が特徴!謎解き以上に余韻が楽しめる

 はっきり言うが、もしも、あなたが謎解きをミステリーにおける唯一の興味と考える読者であるならば、チャンドラーはその期待に応えてくれないかも知れない。伏線の張り方も回収もいい加減で、登場人物はしょっちゅう何処かに帽子を忘れてくる。『大いなる眠り』では殺人事件の一つは犯人捜しすらされないのだ。しかし、それでも是非読んで欲しい。誤解を恐れずに言えば、筋を追わずに一つ一つのシーンを楽しんで欲しい。溢れる情感と読後の余韻を味わって欲しい。

出典:http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130110/1357775857

 さらに、美しく抑制のきいた文章もチャンドラーの魅力だ。ハードボイルド小説は、シャープな文体やウィットに富んだ会話、練られた比喩などが特徴と言われるが、この部分において、チャンドラーの洗練された文章はいまも世界中のハードボイルド作家のお手本であり続けている。

出典:http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130110/1357775857

当時は誰もが憧れた!「フィリップ・マーロウ」ってどんな探偵?

では、そんなレイモンド・チャンドラーが生み出した探偵「フィリップ・マーロウ」について紐解いていきましょう。
フィリップ・マーロウは186センチという長身と、トレンチコートに帽子、キャメルの煙草というスタイルが特徴的な人物で、その後の「ハードボイルド探偵」のイメージを作り上げたと言われています。
引き出しにはスコッチウイスキーと拳銃……なんて、まさに渋カッコいい!って感じですよね。
正義感の強い色男ですが、人助けを優先しすぎて痛い目に遭うことも……。

ハンサムなので女性にもモテるものの、依頼人との線引きはしっかりしており、そういった真面目なところも男性から憧れられる要素なのかもしれません。
チャンドラーが著したフィリップ・マーロウシリーズは、長編7つと中短編2つ、合わせて9つが刊行されており、特に1954年の「長いお別れ」が最高傑作と言われています。
いずれも魅力的なフィリップ・マーロウを見ることができる作品ばかりですので、まだ読んだことがないという方は、ぜひ時間のある時にご覧ください。

シリーズは長短編合わせて9つ!刊行順にぜひ読んでみて

長編
・大いなる眠り(1939年)
・さらば愛しき女よ(1940年)
・高い窓(1942年)
・湖中の女(1943年)
・かわいい女(1949年)
・長いお別れ(1954年)
・プレイバック(1958年)
中短編
・密告した男(1934年)
・マーロウ最後の事件(1959年)

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%A6

長身で正義感の強い色男!人助けを優先し、痛い目に遭うことも……

・身長 6フィート1インチ半(186.69センチ)
・体重 約190ポンド(約86.18キロ)
・髪の色 灰色が少し混じった濃い鳶色(濃くて赤黒い茶褐色)
・瞳の色 鳶色
・頭部、手、腕に目に付く傷跡は無い[1]

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%A6

 チャンドラーの長編すべての主人公がフィリップ・マーロウ。一日25ドルと必要経費(後に値上げ)で働くロサンゼルスの私立探偵だ。身長183センチ、体重86キロの色男である。強面するタフガイという感じではないが、依頼人の利益を守るためなら迷わず身体を張る真面目な男だ。金にならない人助けに精を出し痛い目に遭うこともしばしば。

出典:http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130110/1357775857

トレンチコートと帽子、タバコが「ハードボイルド探偵」のイメージとして定着!

トレンチコートを着て帽子をかぶり、好きなキャメルのタバコをふかしている姿は、ハードボイルド探偵のイメージとしてすっかり定着しました。
 オレゴン大学に在籍後保険会社の調査員を経て、ロサンゼルス地方検察局のタガート・ワイルド検事の調査員として働いていましたが、「口答えが多い」という理由で一方的に解雇。そのことをきっかけにして独立し、ハリウッド・ブルーヴァードのビル7階に私立探偵事務所を開業します。

出典:http://www.aga-search.com/detective/philip_marlowe/

引き出しにはスコッチと拳銃、女性にモテるけど線引きはしっかり!という好漢

 机の引き出しにはいつも拳銃とスコッチのボトルが置いてあり、暇な時はウィスキー・グラスを片手にチェスの定石を並べたり読書をしたりしています。
 金や女性などいかなる誘惑にも屈しない誇り高き正義の騎士で、しかもハンサムなためいつも女性からは人気がありますが、依頼人とは必要以上に親しくならないのが彼の流儀です。

出典:http://www.aga-search.com/detective/philip_marlowe/

特に俳優「ハンフリー・ボガート」が演じたフィリップ・マーロウが人気!

雰囲気出てる!彼をモデルにした「マーロウ・プリン」も日本で売られている

フィリップ・マーロウは今まで映画やドラマなどでたくさんの俳優が演じていますが、特に人気なのは名優「ハンフリー・ボガート」のよう。
確かにハンサムながら渋く落ち着いた雰囲気が出ていて、非常に素敵ですね。

また、神奈川県のカフェレストラン「マーロウ」では、フィリップ・マーロウがプリントされた「マーロウ・プリン」なるものも販売されています。
通販もできるようなので、興味のある方はぜひどうぞ。

痺れるほどカッコいい!フィリップ・マーロウの名言集

最後に、男なら誰もが一度は言ってみたい!フィリップ・マーロウの名言集をご紹介しましょう。
中には非常に有名なものもあるので、チャンドラーやフィリップ・マーロウに興味がなかった人でも「これは聞いたことある!」と思うかもしれません。
まず、作中のヒロインから「どうしてそんなに強いのに優しくなれるの?」と尋ねられた際の「タフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きている資格がない」というもの。
本当に強い人間でなければ言うことができない、心に残るセリフですよね。

また「さよならを言うのは、少し死ぬことだ」「ギムレットには早すぎる」といったフレーズも、皆さん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実はギムレットの方はマーロウが言ったのではなく言われたセリフなのですが、様々なところでパロディされていますね。
「撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ」も大変カッコいい言葉ですが、恐らく「チャンドラーの作品が元だったんだ!」と驚いた方がいるはず。
これだけを見てもチャンドラーの作品がいかに浸透し、その後の文学やカルチャーに影響を与えたのか分かります。

「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」

「If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」
作中のヒロインから、「あなたの様に強い(hard)人が、
どうしてそんなに優しく(gentle)なれるの?」と問われて返す言葉

「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」

出典:http://ameblo.jp/fri20091003/entry-10771235286.html

「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」

「To say Good bye is to die a little.」
「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」
清水俊二訳では「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」(『長いお別れ』第50章)

これが村上春樹訳では「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」
(『ロング・グッドバイ』第50章)

出典:http://ameblo.jp/fri20091003/entry-10771235286.html

「ギムレットには早すぎる」

「I suppose it's a bit too early for a gimlet. 」
「ギムレットには早すぎる」
これはゲストキャラクターがマーロウに言ったセリフですね
清水俊二訳では「ギムレットにはまだ早すぎるね」(『長いお別れ』第52章)
村上春樹訳では「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」(『ロング・グッドバイ』第52章)

出典:http://ameblo.jp/fri20091003/entry-10771235286.html

「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」

「I don't shoot it at people,
unless you get to be a better shot. Remember?」
「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」

出典:http://ameblo.jp/fri20091003/entry-10771235286.html

「からいばりはよしてもらおう。自信があるんなら強がりをいうことはない」

「からいばりはよしてもらおう。自信があるんなら強がりをいうことはない。強がりをいわなければならないようなら、ぼくと張りあっても勝ち目はない」
 by フィリップ・マーロウ 

出典:http://homepage2.nifty.com/highmoon/kanrinin/meigen/chandler6.htm

「さいころで給料をすっちまうというんなら、博打を禁止しろ」

「さいころで給料をすっちまうというんなら、博打を禁止しろ。酔いつぶれる奴がいるのなら、酒を禁止しろ。自動車をぶっつけて人を殺すことが気になるのなら、車をつくることを禁止しろ。ホテルで女といっしょにつかまる奴がいるのが困るのなら、セックスを禁止しろ。階段からおちないようにしたけりゃ、家を建てることを禁止しろ」
 by フィリップ・マーロウ
 責めをおわせるべきものを間違えるな、ということか。 

出典:http://homepage2.nifty.com/highmoon/kanrinin/meigen/chandler6.htm

代表的なもの以外にも、フィリップ・マーロウのセリフの中にはハッとさせられるものが多数あります。
「自信があるなら強がりを言うことはない」「さいころで給料をすっちまうというんなら、博打を禁止しろ~」(つまり、責任の所在を間違えるなという意味)など、現代の人間からしても心に痛い言葉ですよね。

こんな風に生きてみたい!チャンドラーの作品を、ぜひ一から読んでみよう

いかがでしょうか?チャンドラーはフィリップ・マーロウという魅力的なハードボイルド探偵を生み出し、数々の名言を残した偉大な作家なのですね。
セリフとして聞いてもカッコいいですが、作品を読み進める中で目にすれば、また違った味わい深さを感じられるかもしれません。

名前だけは知っていたという方も、今回初めて聞いたという方も、ぜひ原作本を読んで更に造詣を深めてみてくださいね。