美侍

【選び方から手入れまで】靴のプロが教える、一生使える高級靴との付き合い方

ビジネスシーンに欠かせないビジネスシューズ。「おしゃれは足元から」というように、どんなにかっこいいスーツを着て髪型をセットしていても、靴が汚れていてボロボロ……なんてことになってしまったら台無しです。


さらに見た目だけではなく、靴によってアナタがどんな人を見られてしまうのも気になるところです。銀座のホステスのママや一流のブティックの店員さんは、その人の靴を見てお金を持っているか、仕事ができるかを判断する材料にしているそうです。


ひょっとしたら商談や接待など、あらゆる場面でアナタの靴も見られているのかも……。


そこで今回は、イギリスやアメリカなど様々な国の”本当にいい靴”を扱う「トレーディングポスト青山本店」に伺い、ビジネスシューズの選び方から手入れの仕方、そして選りすぐりの靴を紹介していただきました。


本物の靴にこだわるビジネスマンの方から新しく靴を購入しようと考えている方、さらにはビジネスシューズ初心者の方まで、必見の内容になっています。

ビジネスシューズ初心者でも簡単にできる、1人ひとりに合った靴の選び方

青山に本店を構え、数多くのビジネスマンの足元を支えてきた「トレーディングポスト青山本店」。
そして今回ご指南していただくのは、同店のイケメン店員さん、川口さん。

―本日はよろしくお願いします。早速、ビジネスシューズの選び方を教えていただきたいのですが…。

川口:はい。まずご紹介するのは、このストレートチップという内羽根に飾りのないキャップトゥが1番オーソドックスな形です。

主にこの形はフォーマルで品のある形なので、冠婚葬祭や式典などの儀式的な場にも向いています。この形を中心に、外羽根と呼ばれるタイプや穴飾りがついたりするとどんどんカジュアルダウンしていきます。

フォーマルからカジュアルへ移行していくと、色が黒から茶色になったり、ヒモからベルトになったりとだいぶ個人の好みによって違いが出てきます。オフィスの雰囲気や、靴のシーズン、用途(式典用、外回り用など)に合わせて靴を選んでみてください。

―では用途に合わせてお気に入りの1足を選ぶ、という感じでしょうか?

そうなんですが、できればお気に入りの1足だけを履き続けるのは避けていただきたいです。

―と、いいますと?

概ね3足くらい用意していただいて、それをローテーションして履いていただくと、より靴が長持ちします。

例えば靴を1足、1日中履き続けると足はコップ1杯分の汗をかくと言われています。コップ1杯分の汗を吸い込んだ靴をちゃんと乾かさずに、それも毎日履き続けたら、当然持ちが悪くなりますよね。

なので、なるべく3足程度用意して、1日履いたら中2日空けてから履くようにしてください。その間「靴のハンガー」と呼ばれる、シューツリーを靴の中に入れておくとよいでしょう。靴の中を乾燥させるのはもちろん、形もきちんと維持できるようになっています。

―初心者の方だと、靴をどう選んでいいのかわからなかったりすると思うのですが、そうしたビジネスシューズ初心者の方にはどのようなご案内をされていますか?

当店は単一ブランド直営店ではなく、セレクトショップですのでお客様のお好みのデザインの中で最も足に合うようなものをおすすめしています。

「こういうシルエットが好きだな」といった見た目からのご要望はもちろん、「どんな場面でお使いになるか」といったシチュエーションからの要望まで幅広く聞いております。

そこから足を測定して足の長さや厚み、肉付きなどを考慮してこちらがおすすめの靴をお出しします。もちろん、ご自身でお好きな靴を店頭で選んでいただいて、足のサイズに合わせて購入していただくことももちろん可能です。

お客様1人ひとりのご要望に合わせて、靴をご紹介しています。ですので、わからないことがあればなんでもお気軽にご相談していただければと思います。

フルケアからサッと汚れを落とす簡単ケアまで!靴のプロが教えるお手入れ術

―靴を長持ちさせるにあたって、欠かせないのが日々のお手入れなんですよね?

川口:はい。靴を長持ちさせるには日々のお手入れは必要不可欠です。逆に言えば、きちんとお手入れをしていれば、靴と長く付き合っていくことができます。早速やっていきましょう。

まず、靴の紐を全て取ります。靴の紐をしたまま手入れをすると、紐の下の部分の革に油が十分に行き渡らず、ひび割れてしまうことがあるので注意です。そしてシューツリーを入れてきちんと靴が張っている状態にします。

きちんと靴のシワが伸びた状態で手入れをしないと、そこだけ汚れ落としが届かずに汚れが残ってしまいます。そこから乾燥してサイドのひび割れが起こってしまいます。ピンと張った状態でケアをはじめます。

最初に汚れ落としです。これはいわば洗顔みたいなもので、スッピンにしてあげるようなイメージです。汚れはもちろん、前に手入れをしたときの古いクリームを落としていきます。ゴシゴシやるというよりは軽く擦るように落としていきます。

続いて、靴と同じ色のクリームをごく少量塗っていきます。このクリームを布で塗る方もいらっしゃるのですが、布を使うとクリームの半分くらいを布が吸い取ってしまってもったいないというのと、最初の1点がシミのように強く入ってしまいます。

ムラなく隅々まで浸透するように、この柔らかいブラシを使います。ちなみに靴の革は丈夫なので、このブラシくらいでは傷ついたりはしないので、ゴシゴシとしっかりと磨いていきます。

続いてこちらの固さある、コシのあるしっかりとしたブラシで磨いていきます。先ほどの柔らかいブラシは汚れ落としのようなものですので、この固いブラシで先ほど塗ったクリームを広げていきます。

少量でも余分なクリームが出てくるので、最後にこの乾拭き用のクロスで整えます。そして仕上がったのがこちらです。

だいぶ光沢が出て、キレイになりました。よく使う靴で月に1度ほど、フルでケアをしていただいて、あとは日頃ブラッシングをきちんとしていただければと思います。

それから忘れがちなのは、雨の日に濡れた後の乾燥です。雨の日の後、乾かしていただくところまではやっていただけるのですが、その後にすぐ保湿する形でクリームを塗っておかないと革がヒビ割れてしまいます。

シューツリーを入れて2〜3日しっかり乾燥させて、お手入れをしていただければ思います。雨の日の後は特にケアをするよう心がけましょう。

―なかなか日頃のケアがしにくい、忙しいビジネスマンの方へ「これだけはやっておいてほしい」という、最低限のケアがあれば教えてください。

先ほど使った柔らかいブラシでのブラッシングですね。あとは乾拭き用のクロスを職場のデスクの下に忍ばせておくと、外出の前にスッと拭くことができます。フルのケアがなかなかできない方は、こまめに拭いて汚れを貯めこまないようにしておくとよいでしょう。

トレーディングポスト青山本店のイケメン店員が勧める、珠玉の10足

ここからはトレーディングポスト青山本店、おすすめのビジネスシューズを10足ご紹介します。ビジネスシューズの購入を考えてる人は必見です!(価格は全て税別です)

①1002/Trading Post

こちらはつくりも価格も入門編の1足。中も柔らかいつくりになっているので、革靴が苦手な方でも履きやすいです。さらにもともと光沢があるので、お手入れが苦手な方もたくさん履いていただけます。

価格:27,000円

②1200/Trading Post

国産のオリジナル。1番クラシックでイギリス寄りのもので、ベストセラー商品です。国産だけあり、日本人が履きやすいフィッティングになっています。

価格:42,000円

③T602/Trading Post

雨の日のためにつくられた「究極のラバーソール」の異名を持つ1足です。撥水機能が備わっている上、靴底には滑り止め加工が施されています。雨の日が待ち遠しくなりますね。

価格:45,000円

④S711/Soffice & Solid

こちらは国産のソフィス&ソリッド。国産の中では色気のあるデザインです。さらに職人がハンドフィニッシュで色を入れているので、独特のムラ感、透明感があるのが特徴です。

価格:48,000円

⑤10003/CARMINA

スペイン発のブランド「CARMINA」。ダブルモンクというベストセラーのモデルです。磨くと艶のラインがしっかり出る上、タイトなフィッティングが特徴です。

価格:69,000円

⑥M7004/Tricker’s

イギリス発のブランド、Tricker’s。後に出てくるCrockett & Jonesよりも古典的なデザインのカジュアル靴が主流のブランドですがドレスラインも展開中。クールビズなどカジュアルなオフィスファッションにも合います。

価格:73,000円

⑦Leeds/Allen Edmonds

アメリカ発のブランド「Allen Edmonds」。アメリカでは、健康靴というのが意識の根底にあるため、履き心地や耐久性に優れており、ヨーロッパブランドより歩きやすさが第一の設計になっています。

価格:74,000円

⑧AUDLEY/Crockett & Jones

イギリスの老舗ブランド、Crockett & Jonesの代表作である「AUDLEY」。イギリスは、ヨーロッパの中でもブランド靴で有名であり、その中でもトレーディングポスト別注で生まれた人気のモデルです。

価格:89,000円

⑨AUDLEY4/Crockett & Jones

同じくイギリスの老舗ブランド、Crockett & Jonesの代表作「AUDLEY」をバージョンアップした「AUDLEY4」。フィッティング機能の向上により、きちんとかかとが収まることでさらに履きやすくなっています。

価格:89,000円

⑩SAVOY/GAZIANO&GIRLING

イギリス発のブランド「GAZIANO GIRLING」。作りはほぼビスポーク靴というだけあり、ご紹介した靴の中ではダントツでお値段が高いです。しかし、タイトなようで実はどんな人の足の形にもほぼフィットする履き心地は、川口さんもお墨付き。とっておきの1足としておすすめです。

価格:190,000円

「複数の靴を使い分けて手入れをする」―靴と一生付き合っていくためのメソッド

―靴の選び方から手入れの仕方、さらにはおすすめの靴まで教えていただきました。最後に、靴とずっと長く付き合っていくためにはどうすればいいのでしょうか?

川口:先ほどもご説明しましたが、靴と長く付き合っていくためには、靴を複数用意する必要があります。決して、高い靴を持っていれば持ちが良くなるわけではないのです。何足か靴を持っておいて、その靴を手入れをしながらローテーションして履いていく。これが基本です。

―高い靴=品質も良く、長持ちするという印象があったので、意外です。

そういうイメージはありますね。しかし実際はそんなことはなく、高い靴でもきちんと手入れをせずに毎日履いていたら、半年で履きつぶしてしまった、という方さえいらっしゃいます。

なので、10万円の靴を一足履き続けるよりも、3万円の靴を3足、さらに残りの1万円でお手入れ道具を買ってしっかりメンテナンスした方が、靴は圧倒的に長持ちします。

最近では20代〜30代前半の若い人たちも「いい靴を選びたい」と来店される方が多くなりました。もちろん冠婚葬祭や「ここぞ!」というタイミングで履く、いわゆる「勝負靴」として高級な靴を買われる方が多いのですが、基本的にその1足のみにならないよう複数の靴を使い分けるようおすすめしています。

当店の商品は修理にも対応しているので、もし不具合があれば持ってきていただけると直すこともできます。末永く使っていただくためには、愛情を持って日頃のメンテナンスをしていただければと思います。
 
 

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[編集部から]
ただ高価な靴を買えば、おしゃれになれるわけではありません。価格にかかわらず、靴に愛情を持って日頃から手入れをすることで長く使い続けることができるんです。おしゃれは足元から、奥が深いです。
 
 

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