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どんな賞?誰が取ったの?「国民栄誉賞」に関する基礎知識まとめ!

オリンピックの時期になると、よく話題に上るイメージの「国民栄誉賞」。今年もリオ五輪で活躍した伊調馨選手が受賞者となりました。しかしこの賞、メダルを取得すれば必ず貰えるというものではありませんよね。一体どのような基準で受賞が決まるのでしょうか?今回は「国民栄誉賞って結局なに?」「スポーツ選手に限らないなら、頑張れば自分も取れるってこと?」など気になっているあなたのために、国民栄誉賞の意義や受賞のポイント、過去の受賞者などをまとめてみました!

一体どんな賞なの?「国民栄誉賞」の意義とは

国民栄誉賞は、1977年に創設された「内閣総理大臣顕彰」で、当時の総理大臣だった福田氏が本塁打世界記録を達成したプロ野球選手「王貞治」氏を讃えるために作ったとされています。
表彰者は内閣総理大臣と定められており、時期は不確定なので、いつ誰が表彰されるかは分からない(毎年受賞者が決まるわけではない)ということですね。

国民栄誉賞を受賞すると表彰状と盾が贈呈され、一応記念品や金一封を添えることもできるという風になっていますが、他の商品や賞金なども具体的に指定されてはいないようです。
基準は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」となっていて、なかなか曖昧な印象です。
基本的には内閣総理大臣の判断にゆだねられる、ということでしょうか。

創設は1977年!初めての受賞者は「王貞治」氏だった

1977年(昭和52年)、当時の内閣総理大臣・福田赳夫が、本塁打世界記録を達成したプロ野球選手・王貞治を称えるために創設したのが始まりである[1]。背景には、先に設置されていた顕彰、内閣総理大臣顕彰が「学術および文化の振興に貢献したもの」など6つの表彰対象を定めていた反面、プロ野球選手を顕彰した前例がなかったという事情があった[1][2]。また王は叙勲には若過ぎた[3]という事もあり、そのため、より柔軟な表彰規定を持つ顕彰として創設されたのが本賞である[1]。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A0%84%E8%AA%89%E8%B3%9E

広く国民に敬愛され,社会に明るい希望を与えることに顕著な業績のあった者」に贈られる。第1回受賞者はプロ野球選手の王貞治で,1977年9月,756本の本塁打新記録樹立に対し授与された。

出典:https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A0%84%E8%AA%89%E8%B3%9E-171552

表彰者は「内閣総理大臣」!時期は不確定で、表彰状と盾が贈呈される

1 目的

 この表彰は、広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えることを目的とする。

2 表彰者

 内閣総理大臣

3 表彰の対象

 内閣総理大臣が本表彰の目的に照らして表彰することを適当と認めるものに対して行う。
4 表彰の方法

 表彰は、国民栄誉賞を授与して行う。
 国民栄誉賞は、表彰状及び盾とする。
 表彰に当たっては、記念品又は金一封を添えることができる。

5 表彰の時期

 表彰は、随時行う。

6 表彰の事務

 表彰に関する事務は、内閣府大臣官房において行う。

出典:http://www.cao.go.jp/others/jinji/kokumineiyosho/

贈呈されるものについては、内閣府のHPにきちんと「表彰状及び盾」と明記されています。

その後に「表彰に当たっては、記念品又は金一封を添えることができる」とも書かれているので、賞金・年金といった特典がありそうな気もしますが、基本的には賞金も年金もないようです。

確かに名誉の賞であってお金じゃないですからね。

まさか、お金欲しさでこの賞を狙っている人はいないでしょうし。狙ってとれる賞でもないですけど。

出典:http://tsurezurebreak.hatenablog.com/entry/2016/08/28/181949

基準はちょっと曖昧だけど、基本的には「内閣総理大臣の考え」で決まる!

 提案は時の総理が行うようで、総理の考えひとつのようです。基準は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」ということだそうです。

出典:http://www.pointtown.com/ptu/poitto/topic/5801612/view.do

「国民栄誉賞」に輝いた過去の代表的な受賞者たち|まずはスポーツ編!

では、過去国民栄誉賞に輝いた代表的な受賞者たちを見てみましょう。
まずはやっぱり外せない!昭和52年に「初代受賞者」となった元野球選手の王貞治さんですね。
受賞理由は本塁打世界記録を達成した、ということですが、選手を退いてからも福岡ダイエーホークス(現在のソフトバンクホークス)の監督として辣腕を振るわれました。

また、女子スポーツ選手としては平成12年に初めて陸上の「高橋尚子」さんが受賞しています。
シドニーオリンピック金メダルのほか、当時の世界記録保持者として大々的に取り上げられましたね。
何と個人ではなく「団体」でも受賞できるようで、平成23年には世界一に輝いた女子サッカーチーム「なでしこジャパン」も国民栄誉賞に選ばれました。

国民栄誉賞史の全体でみて、やはりスポーツ界の方の受賞は多いようです。

昭和52年:初代受賞者!本塁打世界記録を達成した「王貞治」さん

昭和34年   早稲田実業高等学校卒業後、読売巨人軍に入団
昭和48・49年   二年連続の三冠王
昭和52年   ハンク・アーロンの大リーグ本塁打記録を破る756号を記録、本塁打世界記録達成に対して国民栄誉賞を受賞
昭和55年   現役を引退(通算22年、2831試合、打率.301、868本塁打、2170打点)
昭和59年~昭和63年   読売巨人軍監督(リーグ優勝1回)
平成7年~平成20年   福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)監督(リーグ優勝3回、日本一2回)
平成18年   第1回ワールド・ベースボール・クラシック世界大会日本代表監督(初代チャンピオン)

出典:http://www.mmz.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2009/oh.html

平成12年:女子スポーツ選手として初!マラソンで世界記録を樹立した「高橋尚子」さん

2000年にオーストラリアで行なわれたシドニーオリンピックに出場し、女子マラソンで金メダルを獲得しました。オリンピックでの金メダル獲得は、日本陸上界において戦後初、64年ぶりのことであり、日本女子陸上界においては史上初の快挙でした。また、このときの2時間23分14秒という記録は、ジョーン・ベノイトがロサンゼルスオリンピックでマークしたタイムを16年ぶりに更新する、当時のオリンピック最高記録でした。これらの功績によって、高橋選手は「国民栄誉賞」を授与されることになりました。

出典:http://www.homemate-research-athletic-field.com/useful/15806_sport_087/

平成23年:何と団体受賞もアリだった! 「なでしこジャパン」

日本政府は2日、女子サッカーW杯ドイツ大会(FIFA Women's World Cup 2011)で優勝した日本代表チームに国民栄誉賞を授与することを発表した。

 「なでしこ」の愛称で知られるサッカー日本女子代表は、決勝で米国とのPK戦を制してW杯初優勝を飾り、東日本大震災と原発事故に苦しむ日本の人たちを元気づけた。

出典:http://www.afpbb.com/articles/-/2817637

平成23年から怒涛の勢い!スポーツ選手への国民栄誉賞

歴代受賞者を見るとかつては文化人の方も中心的に受賞しているということが分かります。
しかし、平成23年からはレスリングの吉田佐保里さんや力士の大鵬さん、野球選手の長嶋茂雄さんや松井秀喜さんなど、怒涛の勢いでスポーツ選手が選ばれています。
やはり、スポーツ選手が多く受賞しているイメージは強いですね。

平成23年(2011) なでしこジャパン  サッカーチーム
平成24年(2012) 吉田沙保里  レスリング選手
平成25年(2013) 大鵬幸喜  力士 (没後受賞)
平成25年(2013) 長嶋茂雄  プロ野球選手
平成25年(2013) 松井秀喜  プロ野球選手

出典:http://tsurezurebreak.hatenablog.com/entry/2016/08/28/181949

「国民栄誉賞」に輝いた過去の代表的な受賞者たち|文化人編

続いては、国民栄誉賞に輝いた「文化人」の方たち。
スポーツ界ばかりではないぞ!と主張するところでしょうか。

まずは伝説の歌姫として名高く、「川の流れのように」をはじめ数々の名曲で知られる「美空ひばり」さん。
平成元年となっていますが、実は亡くなった後「没後受賞」されています。

漫画家で初めて受賞したのは、国民的アニメ『サザエさん』でお馴染みの「長谷川町子」さん。
こちらも没後受賞で、亡くなってから実に2か月後の受賞となっていますね。

平成10年、圧倒的な才能で映画界に多大な影響を与えた監督「黒澤明」さんも受賞されていますが、こちらも残念ながら没後受賞です。
こうして見ると、亡くなってから受賞される方も多いのですね……。

平成元年:伝説の歌姫!未だ数々の名曲が残る「美空ひばり」さん

没後受賞
(満52歳没) 1989年7月6日
(宇野内閣) 歌手 真摯な精進、歌謡曲を通じて国民に夢と希望を与えた。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A0%84%E8%AA%89%E8%B3%9E#.E8.BE.9E.E9.80.80.E3.81.97.E3.81.9F.E4.BA.BA.E7.89.A9

平成4年:『サザエさん』でお馴染み!名作を世に生み出した漫画家「長谷川町子さん」

1988年 68歳 2月、第四回東京都文化賞を受賞
1990年 70歳 4月、勲四等宝冠章受賞
1991年 71歳 第二十回日本漫画家協会賞・文部大臣賞受賞
1992年 72歳 5月27日、心不全のため死去。享年72。                    
          7月、国民栄誉賞を受賞                           
          11月、「長谷川美術館」から「長谷川町子美術館」に名称変更

出典:http://www.hasegawamachiko.jp/machikosprofile

平成10年:映画監督として伝説的な存在!『七人の侍』で有名な「黒澤明」さん

 黒澤明は、日本の内外を問わず多大な影響を与え、特に海外の映画関係者に信奉者が多く
 「世界のクロサワ」と呼ばれました。

 黒澤の映画の制作手法、ストーリー、キャラクターを参考、模倣した海外の映画も多く、
 その中には名作といわれる作品も少なくありません。

 1910年(明治43年)3月23日に生まれ、1998年(平成10年)9月6日に亡くなりました。享年88。

出典:http://www.main-wave.com/kurosawa.html

この他にも『男はつらいよ』の主演俳優として知られる渥美清さんや、世界初の五大陸最高峰登頂に成功した冒険家の植村直己さん、『放浪記』2千回公演達成をはじめ偉業を成し遂げた女優の森光子さんなど、様々なジャンルの著名人たちが受賞しています。
 
 

内閣府サイト内での一覧表。
昭和52年受賞の王貞治さんから、平成25年の長嶋茂雄さん・松井秀喜さんまで全受賞者が時系列で記されています。
※伊調馨さんはここには記載されていません。

えっどうして!?実は「辞退」した人もいる国民栄誉賞

国民栄誉賞は大変名誉な賞ですが、だからこそ「辞退」する人もいます。

1人目は1983年にプロ野球選手として盗塁王を達成した「福本豊」さん。
授与を打診されたものの、既に受賞していた王貞治さんのようになれる自信がないということで、残念ながら辞退されたようです。

2人目は、甲子園の応援歌で知られる作曲家の「古閑裕而」さん。
平成元年に没後受賞が内定していたとのことですが、親族の方が辞退されたそう。

3人目は、現在もプロ野球の第一線で活躍し続ける「イチロー」さん。
彼は2001年と2004年、実に2回に渡り授与を打診されましたが、光栄ではあるものの、できれば現役引退後に賜りたいということで辞退しています。
こういったところでも、限界まで自分を追い込むストイックな一面を見せていますね。

1人目:プロ野球選手の盗塁王となった福本豊さん!

福本豊(プロ野球選手)

1983年に当時の世界記録となる通算939盗塁を達成し、中曽根康弘首相から授与を打診されたようですが、「王さんのような野球人になれる自信がない」といった理由で辞退されたようです。

出典:http://www.tokyo-media-lab.com/?p=8488

2人目:数々の名曲を生み出した作曲家、古閑裕而さん!

古関裕而(作曲家)

平成元年に没後授与が内定していたようですが、親族が辞退されたようです。

出典:http://www.tokyo-media-lab.com/?p=8488

3人目:メジャーリーグでも大活躍の野球選手、イチローさん!

イチロー(プロ野球選手)

2001年に、メジャーリーグで日本人選手初のMVPを獲得したことにより、第一次小泉内閣から授与を打診されたようですが、「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞を頂けるのなら、現役を引退した時にいただきたい」という理由で断られたようです。

2004年にもメジャーリーグのシーズン最多安打記録を更新したことから、授与が検討されたようですが、再度断られたようです。

出典:http://www.tokyo-media-lab.com/?p=8488

イチロー選手は、実は2回も辞退してる!

メジャー移籍4年目に、メジャーリーグのシーズン安打記録を更新した時にも、

再び国民栄誉賞授与の打診があったのですが、イチロー選手は、

「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下してしまう」

と言って辞退しました。(あまり知られてはいませんが。)

出典:http://kansai-band-osaka.seesaa.net/article/438837588.html

イチロー選手は国民栄誉賞を2度も辞退しましたが、

「今後のさらなる飛躍への意志が強いからであって、

決して将来にわたり国民栄誉賞がいらないとの意思ではない」ということは、

ここで断っておきたいと思います。

出典:http://kansai-band-osaka.seesaa.net/article/438837588.html

日本の誇りとも言える国民栄誉賞を、今後も見守っていきましょうか

いかがでしょうか?国民栄誉賞は非常に名誉な賞であり、過去には数々の著名なスポーツ選手や文化人の方々が受賞されているのですね。
昨今もリオ五輪で大活躍されたレスリングの伊調選手への授与が2016年9月13日付で決まりました。
素晴らしいことだと思います。

スポーツや文化的な活動を行っている方にとっては心の励みにもなる国民栄誉賞の動向を、今後も見守っていきたいものですね。