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やりすぎもNG!勘違いしやすい敬語のマナー5選

社会人になると、特に注意せねばならないのが「言葉遣い」。上司や同僚はもちろん、取引先やお客様など、相手に応じた適切な敬語を心がけなければなりません。しかし、中にはあまりにも意識しすぎておかしな表現になってしまったり、学生時代アルバイトで使っていた表現が実は間違っていたりして、注意される方も多いようです。今回は特に勘違いしやすい敬語のマナーについて、5つ挙げてみました!敬語に自信のない方は、ぜひご参考ください。

目上の人にはNG!?「お疲れ様です」

すれ違いざまや退社する時などによく飛び交うのが「お疲れ様です」「お疲れ様でした」という言葉。
もはや挨拶のひとつになっていますが、「部下が上司を労うこと自体おかしい」ということで、実は不愉快に感じるという方もいるのです。
確かに古くは目上から目下に使われていた言葉だそうで、日本語としては誤用とのこと。

「ご苦労様」は目下に使うものだからダメ!というのは有名ですが、まさか「お疲れ様」も使っちゃいけないなんて……と衝撃を受けてしまいますよね。
既に当たり前のように使われているから、と割り切っている人も多いですが、もし上司がマナーに厳しい方である場合は、どう言い換えれば良いのでしょうか?

「おはようございます。朝早くから、(私たちの指導のために)ありがとうございます。今日もよろしくお願いします」という朝の挨拶から始まり、夜であれば、「遅くまで、ありがとうございます(今日はお先に失礼します)」。

出典:http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-80311?page=3

(その時「ありがとうございました」は、完了形の言い回しになってしまい、それを使い続けると、いつしか縁を切ってしまうように響きますから、極力現在形の「ありがとうございます」を使用します。)

出典:http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-80311?page=3

昼間には「お帰りなさいませ。暑い中外回りありがとうございます」などと言い換える方法があるようです。
しかし、外回りの後は実際疲れているのだから「お疲れ様でした」と労ってもよいという声もありますので、そこは社風に従うべきかもしれません。

そこまで厳密ではなくても、朝は「おはようございます。本日も宜しくお願い致します」帰りは「お先に失礼致します」と覚えておくと良いでしょう。

「日本語には、会った時に目上の人に対してきちっと使える、万能の挨拶(あいさつ)語がないんです」「『お疲れ様です』が広がったのは、適当な挨拶が他にないというのも大きな要因でしょう」

出典:http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2015081199721.html

 ある広告会社のワンマン社長が、疲れてもいないのに、朝からお疲れ様ですはおかしいだろと「お疲れ様禁止令」を出したら、社員はそれに代わるあいさつを思い浮かばなかったという。「お疲れ様」はいまや便利なあいさつとして、すっかり定着したのだ。

出典:http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2015081199721.html

「おはようございます」や「こんにちは」は、同じ方に対して何度も使うことのできない挨拶ですよね。
そのこともあってか、これだけ市民権を得ているのだから間違いではないという考えも浸透しつつあります。

実際、社内研修では「ご苦労様」ではなく「お疲れ様」を使いなさいと指導するところもあるそう。
言い換えるのが確実ではありますが、自分の会社がどのような考えなのか、新人研修の内容も今一度振り返ってみてくださいね。

何にでも使いすぎ!?「させて頂く」

続いては、使い勝手が良すぎてついどんな時にも活用してしまいがちな「させて頂きます」という言葉。
古くは明治時代から「相手にへりくだり、遠慮がちに動作を行う」という意味で使われているもので、日本語として間違っているわけではありません。

しかし、例えば「ご報告させて頂きます」(『ご報告』が既に謙譲語なので、過剰な敬語になっている)や「担当させて頂きます」(担当することに関しては相手に許可を得ているわけではない)など、不適切な場で使われてしまうことが多いと言われています。

「させて頂きます」の誤用について、非常に分かりやすく書かれています。

「お送りさせていただきます」「報告させていただきます」「意見を言わせていただきます」はそれぞれ、「お送りいたします」「報告いたします」「意見を申し上げます」と言い換えればすっきりします。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

「経理を担当させていただいています」ではなく、「経理を担当しております」
「○○は、休ませていただいています」ではなく、「○○は休んでおります」
「課長をさせていただいています○○です」ではなく「課長の○○と申します」
と言います。社外の人への敬意を表現できます。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

「公園で走らせていただいています」「合格のために努力させていただきました」「土曜日は高原でくつろがせていただきました」などは、「走っております」「努力いたしました」「くつろいでまいりました」と言い換えれば違和感を与えません。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

上から順に
①すっきり話そうよ型
②誰を立てているの?型
③誰に許可をもらったの?型に分けられています。

過剰に敬語を織り交ぜたり、自分の立場や役職を表す際に使ったり、公共機関の使用や自分の意志でやったことに付属させたりするのはおかしいということですね。
また、行動は自分勝手なのにあたかもへりくだっているかのように見せかける、以下のようなパターンもあるようです。

「突然ですが、今日でバイトを辞めさせていただきます」
「店長、バイトの時間を変更させていただきます」
「用ができたので、帰らせていただきます」
突然、きっぱり宣言するように言われ、大変驚き、困まったということでした。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

日数の上でも十分な余裕をもって、理由や事情を述べたあとに、「よろしいでしょうか」「お願いできますでしょうか」と許可を求める姿勢がほしいところです。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

「休まさせていただきます」という表現は、不要な「さ」が入った「さ入れ言葉」とも呼ばれています。
よく使われているのは、「休まさせていただきます」のほか、「読まさせていただきます」「歌わさせていただきます」「作らさせていただきます」などです。

出典:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html

上記のように「さ」を余分に付けてしまうものに関しては、「休ませて頂きます」「読ませて頂きます」「歌わせて頂きます」「作らせて頂きます」と、一文字省いただけで解決します。

実はイラッとされてるかも!?「参考になりました」

上司や先輩がささいなマナーを注意してくれたり、仕事のアドバイスをしてくれた際「参考にさせて頂きます」あるいは「なるほど~。参考になりました!」なんて言ってしまった方はいませんか?
実は「参考になった」というのはアドバイスした側を評価する言葉なので、本来目上の方に使ってはならないのです。

親しい間柄ならば構いませんが、上司や先輩相手だと「参考程度に聞いておきます」という意味になってしまい、角が立つことも。
では、一体どう言い換えれば良いのでしょうか?

正しくは「勉強になりました」「ご対応いただきありがとうございました」です。
目上の人を褒める表現は、相手を評価することになりますので、同僚や上司に関わらず避けたほうがいいでしょう。

出典:https://ferret-plus.com/1696

メールの文例

「先ほどの込み入ったクレームへの対応、とても参考になりました。」

「先ほどの込み入ったクレームへの対応、たいへん勉強になりました。」

出典:http://doda.jp/careercompass/compassnews/20141218-11267.html

「貴重なご意見をありがとうございました」
「ありがとございます。勉強になりました。」
「勉強させていただきました」と頭を下げる・・・あたりでしょうか。。。

出典:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1422355034

仕事のことでこうした方がいいよ~と言われた場合には「はい!ご助言ありがとうございます」という言い換えもあるでしょう。

基本的には「ありがとうございます。勉強になります」というのが一番良いようですね。

丁寧に聞こえるのに……「ご一緒致します」

上司や先輩から「今夜飲みに行くか?」あるいは「ランチでも一緒にどう?」と言われた時、「はい!ご一緒します」と返してしまう方も多いのではないでしょうか。
実際に字にして眺めてみてもおかしいようには見えませんが、実は「ご一緒します」という言葉の中にはへりくだる表現が充分に含まれていないので、本来は立場が同等の相手(同僚等)に使うべきなのです。

充分気を遣っているように聞こえるのに、じゃあ何て言えばいいの!?と思ってしまいますよね。
では、正解を見てみましょう。

「一緒」という言葉には、相手と同列に並んで行くという語感があります。よって、自分と同格以下の人に対して用いる言葉です。
正しくは「お供いたします」です。

出典:https://ferret-plus.com/1696

上位の人に「一緒に行きます」ということを伝える場合は、「ご一緒します」ではなく「ご一緒させていただきます」が適切よ。あと、同じ意味の言葉に「お供させていただく」というものもあるわよ。これも便利だから憶えておいてね。

出典:http://bizkeigo.koakishiki.com/renraku-single/scene-5.html

×「先生、今度△△に参りましょう」
○「先生、もしよろしければ今度△△へお出かけになりませんか」
○「先生、もしよろしければ今度△△はいかがでしょうか」
○「先生、今度△△へご一緒させてください」
○「先生、今度△△にご一緒させていただけますか」
○「先生、今度△△にお供させてください」  など。

出典:http://www.web-nihongo.com/wn/j_manner/29.html/

一番下は、上司に誘われた時ではなく、「○○に行きませんか?」と行動を促す時の表現です。

「ご一緒させて頂きます」は一見二重敬語に見えますが、「ご一緒」は謙譲語や尊敬語ではなく「一緒に行くということの丁寧表現」ということで、適切な使い方として紹介されている記事が多数ありました。
基本的には「お供致します」「ご一緒させてください」と覚えておくと間違いないでしょう。

何気なく使っているけど!?「了解しました」

最後にご紹介するのは、上司や先輩から「これやっておいてくれない?」「○時に○○に行って欲しい」と言われた時につい返してしまう「了解致しました」です。
一見丁寧な言葉にも見えますが、実際には「了解」は「ご苦労様」と同じように、目上から目下へ使用される表現なのです。

「でも他には『分かりました』くらいしか思いつかないよ!」と思われる方もいるでしょう。
では、一体どのように言い換えをすれば良いのでしょうか?

「承知致しました」「かしこまりました」「わかりました」などを使っていきたいですね。

出典:https://nanapi.jp/114384

「わかりました」という表現は「すみません」のように丁寧語であり正しい敬語ですが、きちんとした場所であれば、より気持ちの伝わりやすい敬語にしたいですね。

出典:https://nanapi.jp/114384

「分かりました」も間違いではないのですが、近しい上司や先輩ではない場合は、あまり相応しくない表現のようですね。

同じく挙げられている「すみません」もあまり良い顔をされないことが多いので、基本的には「申し訳ありません」と言い換えましょう。

承知に関しては、「承る」という意味が入っているため、より丁寧にはなります。また「かしこまりました」も同様です。

ただし、あまり堅苦しくならないメールの中であれば、そこまで気にするほどではない、というのが実態です。

出典:http://manners.kihon.jp/business/2515

意味としては、了解は「物事に関する承認をする」ということになり、通常は何かしらの権限を持っている人が使う言葉です。

しかし、例えば「了解致しました」のように敬語表現を付け加えれば使っても構わないのではないか?という意見もあります。
使うかどうかは自分や周囲のさじ加減と言えますが、取引先やお客様の中には不愉快に思う方がいるかもしれないことだけは覚えておきましょう。

他にもたくさん!勘違いしやすい敬語表現

いかがでしょうか?今回は無意識のうちに使ってしまいがちな、一見丁寧な表現を中心にご紹介致しました。
しかし、勘違いしやすい敬語表現は、実際には数多く存在します。

例えば電話応対の際に相手の名前を尋ねる時は「○○様でございますか?」ではなく「○○様でいらっしゃいますか?」と言う、他社から伝言を受けたら「上司に申し上げます」「上司にお伝え致します」ではなく「課長(役職名)の○○に申し伝えます」と答えるなど、非常に奥が深いのです。

中には「日本語としては間違いだけれど、既に浸透しきっているから関係ない」という説のあるものまで多種多様ですが、しっかり勉強し常に意識した言葉遣いをしておけば、上司や先輩、取引先などから一目置かれる存在になるかもしれません。
出来る限り覚え、仕事中は丁寧な言葉遣いを心がけましょう。