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民衆が操作される!?「ポピュリズム」ってどんな政治思想なの?

昨今の安倍政権やアメリカ大統領選などが報道される際、記事中でよく目にする言葉が「ポピュリズム」。これは政治思想のひとつですが、捉え方によっては民衆の意識を操作する危険性があるとも言われています。一体なぜなのでしょうか?今回は「ポピュリズムって何だろう?」と首を傾げるあなたのために、ポピュリズムの意味や考え方などについて詳しくまとめてみました!これを読めば、明日からニュースがもっと分かりやすくなるかも?

ポピュリズムとは「大衆に迎合して人気を集める」こと!

ポピュリズムとは、簡単に言えば大衆(国民)の利益や願望、不安などに共感を示し、既にあるエリート主義の体制や知識人層などと戦う意志を持つことで、人気を得ようとする政治思想のことです。
この思想を持つ人々を「ポピュリスト」とも呼ぶようですね。
もちろん、実際に大衆のためになるよう、強い意志を持って選挙に臨む人もたくさんいますが、ポピュリズムはそれとは違い、どちらかといえば「人気のために民衆の意志に寄り添う人」という悪い意味で使われることが多いので、注意が必要です。

ポピュリズムが生まれるのは、民衆が現状の政治に不安を覚える時代背景がある場合が多いと言われています。
政治家たちに託した希望が叶えられていない気がする、という不満が起こると、それに伴って既存の体制側に虐げられている、という怒りを持つ人が増えて、結果的にポピュリストたちの人気が高くなるということですね。

ポピュリズムは、民衆が敵視しているものと対決しようとする政治思想!

ポピュリズム(英: populism)とは、一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、大衆の支持のもとに既存のエリート主義である体制側や知識人などと対決しようとする政治思想または政治姿勢のことであり[1][2][3][4]、日本語では大衆主義や人民主義[5]などと訳される。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0

この思想を持つ人を「ポピュリスト」とも呼ぶ!

また、同様の思想を持つ人物や集団をポピュリスト(英: populist)と呼び、民衆派や大衆主義者、人民主義者、もしくは大衆迎合主義者などと訳されている。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0

ポピュリズムは民衆の不満から生まれ、サイレントマジョリティによって拡大する!

ポピュリズムは、理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視します。"エリート(あるいはエスタブリッシュメント)"を"大衆"と対立する集団と位置付け、大衆の権利こそ尊重されるべきと主張します。

出典:http://www.huffingtonpost.jp/kei-hata/populism_b_9288654.html

ポピュリズムは、託した民意が反映されない既存の民主政治に対する疑念と落胆から生まれ、エリートやエスタブリッシュメントに虐げられていると感じるサイレントマジョリティーの不満や怒りによって拡大します。

一見すると、ポピュリズムが台頭し席巻することによって民主主義が危機に陥れられるように思えますが、実際には民主主義が機能不全を起こし危機に陥っているからこそ、ポピュリズムが台頭し席巻してしまうわけです。

出典:http://www.huffingtonpost.jp/kei-hata/populism_b_9288654.html

※サイレントマジョリティーとは、積極的な発言はしないものの、実質的には大多数である勢力のこと。

現代では褒め言葉としては使われないので、注意が必要!

ポピュリズムは良い響きを持つ言葉ではありません。普通は「大衆迎合」と訳されるように、大局的、長期的損得を考えず、その時点で多数の人に受け入れられ る政策を掲げる。目的は大衆的人気を得て権力を獲得すること。国民のことより自分のことしか結局は考えていない。ポピュリストと政治家を呼ぶのは、強い非 難をこめているのは間違いありません。

出典:http://blogos.com/article/44873/

ポピュリズムは確かに悪い意味で使われることもありますが、あくまでも民主主義の国においては、選挙を勝ち抜くためのテクニックとして不自然ではないように思えますよね。
元々は民衆の中に不満や希望があって、それを政治家に託す、というスタンスなのですし、理性的な国民より感情的な国民を優先するというのも、結果的には選挙の投票が全てですから、当選すればそれだけ共感する人が多かったというだけのことです。

しかし、一方では「迎合するのみならず、ポピュリズムは民衆を操作する」という批判も挙がっています。
一体どういうことなのでしょうか?次で見ていきましょう。

民衆が操作される!?なぜポピュリズムへの批判があるのか

ポピュリズムに対する批判。
これは一体どういうことなのかというと、昔は指導者が直接大衆に訴え、その要求を汲み取ろうとする「下から支えられる」ポピュリズムだったのが、昨今では大衆のエネルギーを「上から利用する」形になってしまっているというのです。
実際、本当にそうなのかは分かりませんが、少なくともネットやメディアなどの情報がたくさんありすぎて、私たちが混乱しているという部分はあるかもしれませんね。

ポピュリズムは両義的な概念であって、民衆が健全な判断力を発揮すれば、その通りに健全な民主政治になる、という説もあります。
健全な判断力を養うために、日頃から新聞やニュース、本などの知識をたくさん取り入れ、今何が起こっているのかを正しく把握したいですね。

大衆に支えられていたはずのポピュリズムが、最近上から操作する形になっている?

アルゼンチンのペロン政権に代表される20世紀半ばの中南米のポピュリズムは、大衆に直接訴えかけ、その要求を直接汲み取ろうと約束することに特徴があった。これらのポピュリズム運動は、下からの直接的な運動という形をとるにせよ、指導者による組織化という形をとるにせよ、大衆の下からのエネルギーに支えられていたと言える。

出典:http://philosophy.hix05.com/Politics/modern/modern004.populism.html

これに対して、新保守主義的な新しいタイプのポピュリズムは、上から大衆のエネルギーを操作するという特徴を色濃くもっている。大衆の下からのエネルギーに支えられているというより、そのエネルギーを自分の権力のために上から利用するという側面が露骨に表れているのである。

出典:http://philosophy.hix05.com/Politics/modern/modern004.populism.html

民衆の判断力によっては、健全な民主政治になる可能性も!

・ポピュリズムは功罪を持ち合わせている両義的な概念である。
 ○庶民大衆が素朴な正義感や健全な判断力を発揮するならば、ポピュリズムは健全な民
  主政治を動かしていく可能性がある。

出典:http://note.masm.jp/%A5%DD%A5%D4%A5%E5%A5%EA%A5%BA%A5%E0/

「分かりやすい情報」は読み解く!政治の知識を深めることが重要

分かりやすすぎる説明には警戒を。
複雑なものを簡単に説明するためには、当然、情報を削っていく必要がある。その仮定で、情報を削る人の恣意が働く。つまり、自分に都合の良い情報は削らずに、都合が悪い情報から削られていくのだ。また、これはメディアについて特に言える事だが、「大衆ウケの良い情報」が残され(誇張され)、そうでない情報は削られていく。
与えられた情報から、削られたモノがなんなのか、逆に、誇張されたものが何なのかを推測する能力が、今後、より必要になってくると思う。

出典:http://www3.coara.or.jp/~ynoge/essayPolitics/populism.htm

一体どんな人たちが?「ポピュリスト」と呼ばれる歴史上の人物2人

ポピュリズムは、前述した通り現代ではあまり良い意味としては使われない言葉です。
しかし、元々は民衆の意志に迎合し、権力者たちに立ち向かう姿勢を示すという意味もありますから、好意的に捉えられることもあるようです。

今回は様々な意味で「ポピュリスト」と呼ばれた有名な歴史上の人物を、2人ご紹介しましょう。

古代ローマ至上最も偉大な政治家!「ガイウス・ユリウス・カエサル」

都市国家ではなく、帝国となったローマの現実に適合した思考・行動をカエサルは体現していたが、それは、共和主義者には、伝統に反する君主政でしかない。前44年、「ブルータス、お前もか」と言い残して、息絶える。しかし、歴史の流れは反転しない。前43年、暴君暗殺に手を汚さなかったキケロも、ローマ脱出の途上、アントニウス派に暗殺される。カエサルのヴィジョンを受け継ぐオクタウィアヌスが前30年に地中海世界を制圧、前27年、元老院から「アウグストゥス」の称号を贈られ、帝政ローマが幕を開ける。

出典:http://eritokyo.jp/independent/sato-col0351.html

最初にご紹介するのは、ローマの帝政の礎を築いたとされる人物「カエサル」です。
世界三大美女であるクレオパトラの愛人としても有名ですよね。
カエサルは既存の体制を打ち砕くため、民衆の人気が得るためのイベントや政策などを行って政治的な発言力を強めたと言われています。
「元祖ポピュリスト」とも呼ばれている彼は、最終的には新体制を嫌った人物に暗殺されてしまいますが、彼がいなければ現在のヨーロッパはなかったとされるほど偉大な功績を挙げました。

ナチス・ドイツの指導者となった!「アドルフ・ヒトラー」

 人類史上典型的かつ最大のポピュリズムは、アドルフ・ヒトラーに独裁権を与えたドイツ国民の政治判断に拠るものだった。ヒトラーは1933年1月に権力を奪取すると、自らが仕掛けた世界大戦に敗北する1945年5月までの12年間、ドイツを名実ともに独裁支配することになる。それは、結果的には暴力と武力にものを言わせる独裁であったが、政権および独裁権奪取までの経緯が、実は極めて民主的な手続を踏んでいたという事実は、あまり知られていない。

出典:http://www.hino.meisei-u.ac.jp/nihonbun/lecture/062.html

 ヒトラーは金融恐慌による不況に対して「何もできない」既成保守政党の無力ぶりを批判すると共に、左翼勢力の脅威を煽る一方で、自分なら「強いリーダー」として「強いドイツ」を復活することができると、さまざまな広報メディアを駆使して単純明快な言葉を使って訴えた。その結果が1930年の総選挙での躍進であり、さらには32年7月の総選挙での37.2%の得票であった。この選挙で比較第一党となることによって、ヒトラーは政権奪取を現実のものにしたのである。

出典:http://www.hino.meisei-u.ac.jp/nihonbun/lecture/062.html

続いては、ナチスドイツの指導者として知られるアドルフ・ヒトラー。
彼の政治は非常に独裁的だったと言われていますが、人類史上典型的かつ最大のポピュリズム、という声もあります。
何でヒトラーのような人が指導者に?当時は民主主義じゃなかったの?と思う方もいるでしょうが、実はヒトラーは「強いリーダー」を民衆にアピールし、正当な選挙で勝ち抜いて地位を得た政治家だったのです。
ヒトラーも政治家としては優秀ですし、悪い顔ばかりではないのですが、ポピュリズムが危険視される理由が何となく分かる気もしますね。

ポピュリズムを正しく知り、知識を深めて選挙に参加しよう!

いかがでしょうか?ポピュリズムは民衆の希望に寄り添う政治思想ではあるものの、一方で危険な部分もあるのですね。
皆さんが自分の求めているものをしっかりと把握し、正しく判断するということが今後大事になってくるかもしれません。

普段から様々な本や新聞などたくさんの知識に触れ、正しい選択ができるよう準備をしておきましょう。