美侍

「与信」の意味を徹底解明!どんな時に必要になるの?

「与信」という言葉だけを見ると、何だか人の名前のようにも思えますし、会社の名前のようにも考えられますよね。しかし、これは取引先に「信」用を「与」えるという意味の、立派なビジネス用語なのです。では、一体どのようにして企業は取引先と信頼関係を結び、与信に至るのでしょうか?また、なぜそのような取引が必要なのでしょうか?気になる疑問を解消しましょう!

与信は「後払いや融資を認めてもらえるように信用を与える」こと!

与信は、字面からすると何かの名称のようにも思えますが、実は立派なビジネス用語。
例えば商品やサービスなどを取引先に提供する場合、その場で一括で代金を支払ってもらえれば良いのですが、時には「○日まで待ってください」と言われることもありますよね。

簡単に言えばそういった時、取引先に「後払いでもいいですよ」と買掛金を許してもらうため、自分が信用できる相手であることをアピールするのが「与信」です。
これは会社同士の取引を指すこともあれば、クレジットカードの利用者がカード会社に与えている信用のことを指すこともあります。

例えば、商品を販売する場合、商品を先に渡して代金は後で回収することが行われる場合があります。この取引において、販売先に対して商品の代金を回収するまで「信用を与える」ことを「与信」といいます。

出典:https://www.tdb.co.jp/knowledge/yoshin/01.html

与信(よしん)とは、融資や信用取引などの融資に関する枠を供与すること。信用を与えるという意味になる。例えばクレジットカードなどの申込をする際にショッピング枠やキャッシング枠などが設定されるが、この枠が与信額となる。

出典:http://www.finance-dictionay.com/2010/04/post_678.html

与信というのは、その人の「返済能力(Capacity)」「返済資質(Character)」「返済担保(Capital)」の三つで評価される(頭文字から3Cとも呼ばれる)。

このどの部分が重要視されるかについてはローンや契約の内容によって異なる。

出典:http://www.finance-dictionay.com/2010/04/post_678.html

取引先や融資相手を信用する、というのは素晴らしいことですが、安易に信じ切ってしまっては途中で裏切られて会社の損失になる恐れもあります。

与信を管理するためには、返済するだけの能力や財産があるか、ない場合には担保となるものを持っているかなど、厳しく相手を査定する眼が必要なのですね。

企業にとっては「与信管理」が重要!

企業にとっては、取引先ごとの「与信管理」が非常に重要となります。
売掛金や融資を許している取引先も、その全てが平等なわけではありません。
前述したような返済能力や資産、担保の有無などによって、企業は「信頼できる度合い」を厳しく管理しています。

売掛金ばかりが増えると、その分不良債権やこげ付き(貸したお金が回収できなくなること)のリスクも高まりますから、企業の存続を考えれば当然のことですよね。
ですから、債務者側も融資や買掛金が許されているからといって油断はできないのです。

「与信管理」とは

与信金額の増大は不良債権や焦げ付き発生のリスクをより高めることになります。このなかで売掛債権は増大しながらも損害の発生は抑制しようとするのが「与信管理」です。

出典:http://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/consulting/consulting_02.html

与信管理とは「この企業と取引しても大丈夫か」ということに加え、「この企業とはいくらまで取引額を増やしても大丈夫(焦げ付かない)か」という判断を取引先ごとに設定・定期的に見直すことです。
※与信管理では、売掛債権の発生する販売先だけでなく、仕入先や外注先、下請先、貸付先など、全ての取引先の信用に対する管理として、認識されています。

出典:http://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/consulting/consulting_02.html

貸金業者から「○○万円までなら枠を取ることができます... 」と言われたことがある方は多いと思いますが、まさしくこれが与信であって、この場合は○○万円まで与信枠が取れたということ、○○万円までなら貸せると言っているわけです。

出典:http://xn--u9jxfta5b0fc6wubwec0286neitd.com/yobitisiki/yoshin.html

クレジットカードにおいては、大抵「いくらまで使えますよ」という金額の上限が設定されますよね。
これがカードの利用者にとっての「与信枠」であり、カード会社があなたを信用できる度合いだ、と判断することができます。

「与信管理」はどうやって行うの?

与信管理をするためには、相手の返済能力や資産に関する情報を集めたり、どこまでなら貸しても良いかを判断するといったことが必要になります。
具体的には、相手企業との取引をする前に、まず「商談」を行い、取引先として適切かどうかが調査されます。

諸々の調査を経て「取引OKだよ!」という結果が出れば上限金額を決めて相手企業と交渉が行われますが、その後も調査は継続されます。
今度は「ちゃんと期日までに返済してくれているか」「業績や動向に不安はないか」などが見られるわけです。
抜かりなく取引先をチェックし続けることで、万が一相手方に倒産や暴落があっても、被害を最小限に抑えることができるのです。

与信管理= 信用調査 + 与信限度の設定・運用

「与信管理」には相手先の経営内容を評価し、信用取引の可否を判断するための資料を入手・分析する「信用調査」と、信用供与の最大金額を算出し、取引金額及び与信金額に限度を設定する「与信限度の設定・運用」の2大業務があるとされています。

出典:http://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/consulting/consulting_02.html

1.商談開始

商談開始
取引候補先が現れると、取引先として妥当で、商談を進めてよいかをまず営業部門で調査します。この場合の調査は、取引先を訪問する直接調査が原則です。それと並行して管理部門にも調査を依頼します。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-03.html

2.情報収集

情報収集
取引先について多面的に情報を収集します。取引先から直接入手できる情報と、信用調査会社などの第三者から間接的に入手する情報、そして取引履歴などの社内の情報を集めます。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-03.html

3.信用力評価

信用力評価
集めた情報を分析して取引先の信用力を評価し、取引するのにふさわしいかどうかを評価します。評価には、以下の分析を用います。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-03.html

与信の後のプロセスは…

債権管理・限度管理
取引が開始されると、売掛金が決済条件で定めた期日通りに回収できているかを管理します。支払の遅れは重大な危険シグナルとなる場合がよくあります。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-03.html

定期見直し
与信承認プロセスの(2)と同様、取引先について多面的に情報を収集します。取引先から直接入手できる情報と、信用調査会社などの第三者から間接的に入手する情報、そして社内の取引履歴などの内部情報を収集します。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-03.html

どうして「与信管理」は必要なの?

そもそも与信管理は、取引先に対して売掛金を作らなければ必要ないもの。
「一括でしか支払いを受け付けませんよ」「与信額を増やしたくないので、もうこれ以上は取引しませんよ」と言ってしまえば、不良債権やこげ付きのリスクはなくなりますよね。

しかし、企業にとって最大の目的は「商品やサービスを流通させ、自社を大きくすること」です。
与信額が増えることを恐れて取引に消極的になったり、他社の事情を考えず横柄に振る舞ったりしてしまえば、その道は断たれてしまいます。
「与信管理を徹底して行い、取引先と適切な信頼関係を築いた上で安定した取引の基盤を造る」ことが、与信管理の最終的な目標なのです。

目的は「企業の成長」

焦げ付きの防止は与信管理の目的の一つですが、与信管理の究極の目的は、安心して継続的に取引できる営業基盤を築き、企業を成長に導くことにあります。焦げ付きを恐れ、取引に消極的になるだけでは、売上・利益を獲得することはできず、企業の成長は達成できません。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-02.html

したがって、与信管理を通じて、優良な取引先には大きく与信をして販売を拡大し、危険な取引先にはなるべく少額の与信にとどめることで利益を多く確保し、成長の源泉である利益が自社に多く残る体制を作っていくことが求められるのです。

出典:http://www.riskmonster.co.jp/yoshin/seminar/chap01-02.html

「焦げ付きをつくらない」だけが目的ではなく、バランスが大事

フィルターをかけ過ぎて「超優良」の相手としか取引できないとなると、全く売り上げは上がらず、経営方針としては大間違いということになります。

出典:http://www.yoshinkanri.com/concept.html

 そこで、与信管理には自社の規模や得意先のレベルに応じたバランス感覚が必要になってきます。

出典:http://www.yoshinkanri.com/concept.html

与信管理も度を超えて「絶対にこの水準を満たす相手としか取引しない!」などということになってしまうと、逆に企業にとって不利益になるのですね。

債権者にとっても債務者にとっても重要!「与信」は慎重に考えよう

いかがでしょうか?「与信」という言葉にはあまり親しみがないかもしれませんが、意味を聞くと誰にでも関係あることですよね。
今回は企業同士の取引における「与信」を主にご紹介しましたが、「相手方の信用を得てお金を借りる」という行為は、ローンやキャッシングに置き換えれば皆さんにも身近なものです。

債権者からすれば「ちゃんと返してくれるだろうか?」という不安があるため、どうしても相手を見る目が厳しくなるもの。
クレジットカードの審査や、何かを分割払いで購入する時のために、普段から健全なお金の使い方を心がけましょう。