美侍

マーケティングには必須!キャズムの意味と対策を知ろう

新商品をたくさんの人に買ってもらい、その良さを広めるために必要なのが「マーケティング」という行為。しかし、「新製品を売るには『キャズム』を乗り越えなければなりません」なんて聞いたことはありませんか?キャズムってなに?マーケティングとは違うの?と首を傾げてしまうあなたのために、今回はキャズムという言葉の意味と、マーケティングにおけるキャズム対策についてまとめてみました!

「キャズム」の前に!イノベーター理論を知ろう

では、さっそく「キャズム」の意味を見ていきましょう……と言いたいところですが、その前に知っておかなければならないことがあります。

スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース(Everett M. Rogers)によって1962年に提唱された「イノベーター理論」というものがあり、キャズムは別の学者がそれに反論する意味で作った言葉なのです。

ですから、先にイノベーター理論を学んでおいた方が分かりやすいのですね。

イノベーター理論とは

 イノベーター理論とは、1962年にスタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース(Everett M. Rogers)によって提唱された、新製品や新サービスの市場浸透に関する理論のこと。

出典:http://jma2-jp.org/wiki/index.php?%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%90%86%E8%AB%96

⒈イノベーター(Innovators:革新者):
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。
⒉アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者):
流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。
⒊アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者):
比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
⒋レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者):
比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
⒌ラガード(Laggards:遅滞者):
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。

出典:http://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my02/my0219.html

他の層への強い影響力を持つアーリーアダプターは、オピニオンリーダーとも呼ばれ、商品の普及の大きな鍵を握るとされます。

出典:http://www.innovetica.com/resource_04.html

なるほど~。
流行に敏感な方から鈍感な方まで、顧客を5つに分けて戦略を考える、という理論なのですね。

イノベーター理論においては、アーリーアダプターは周囲への影響力が大きいため、この層に受け入れられれば商品の普及は期待できると言われています。

「キャズム」って一体なに?

では、先ほどの「イノベーター理論」を踏まえ、キャズムはどういう意味なのか?を見てみましょう。

キャズムは「深い溝」という意味で、顧客に製品や技術を浸透させてゆく際、それを阻む壁が生じる、とする理論を指します。
イノベーター理論では、アーリーアダプターにまで広まれば順調とされていましたが、キャズム理論はそれとは少し違う解釈をしているようですね。

キャズムの意味について、詳しく解説されています。

マーケティング・コンサルタントのジェフリー・A・ムーア(Geoffrey A. Moore)の著書『Crossing the chasm』(1991年)に登場するキーワードで、ハイテク市場におけるマーケティング理論である「キャズム理論」は大いに注目を集めた。

出典:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

利用者の行動様式に変化を強いるハイテク製品においては、5つの採用者区分の間にクラック(断絶)があると主張した。その中でも特にアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には「深く大きな溝」があるとし、これをキャズムと呼んだ。

出典:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

 ハイテク市場のアーリーアダプター(ムーアはその中心的人物をビジョナリーと呼ぶ)が製品を購入しようとするのは“変革の手段”としてであり、競合他社に先んじて新技術を採用することで差別化することを狙いとしている。

出典:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

彼らは競争優位を得るために自身でリスクを引き受ける覚悟で新技術を導入するが、ベンダに対して過大な要求を突きつける場合もある。

出典:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

 一方、アーリーマジョリティ(実利主義者)は“業務効率改善の手段”として製品を位置付けている。未熟な技術によって自身が試行錯誤を行うことになる事態を回避し、同業他社などの使いこなしの事例を参考にしたがる。

出典:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

アーリーアダプターとアーリーマジョリティはベンダ(製品の売り手)への要求が異なるので、その間に深い溝(キャズム)が生じ、思うように製品が売れないこともある、ということですね。
この引用例は、ITハイテク市場の技術的製品についての説明でしたが、これは家電や日用品、アパレル・ファッション品や食品などの一般的商品についてもまったく同様と考えていいと思います。

つまり、流行に敏感な層にウケたら売れる!というわけではない。
アーリ―アダプターは「それが革新的で注目をあつめることができるか」という視点で商品を買うけど、アーリーマジョリティ以下は「それがじっさいに自分の暮らしの中で使えるかどうか」で選んで買う。
だからそういう人たちに浸透させたければ、またそれなりの製品開発や宣伝方法を考える必要がある、ということのようです。

どういう使い方をするの?

こうして見ると、キャズムが理論なのか、それとも単語として何か意味があるのかよく分からなくなってきますが、やはり「購買層が変化する間の隔たり」という用語として使っている人が多いようです。

キャズムが出る、キャズムができた、というような使い方ではなく「生じる」「超える」という用法が一般的のようですね。

しかし、キャズムを超えるには一体どのような努力が必要なのでしょうか?

キャズムを超えるための対策には何がある?

アーリーアダプターとアーリーマジョリティの要求の違いを知り、それぞれに違ったアプローチをすればキャズムを超えられる!というのは分かりましたが、何となくまだ難しく感じますよね。

アプローチにはどんな方法がある?ていうかアーリーアダプターとアーリーマジョリティが求めているものの違いが今一つ分からないんですけど!というお悩みを解決すべく、キャズムを超えるために必要なマーケティングについて調べてみました。

キャズム理論4つの戦術

⒈攻略地点の決定(ターゲットカスタマーの見極め)
⒉侵攻部隊の集結(他社も巻き込んで、全力でニーズを満たす)
⒊戦線の見定め(知名度のある他社商品との比較で、優位性をアピールする)
⒋作戦の実行(販売チャネルを確保し、売る気になる価格設定をする)

出典:http://www.carriageway.jp/column/chasm/index06.html

アーリー・マジョリティにとって大切なのは、

• 導入がスムーズなこと

です。

「導入がスムーズ」というのは、今あるものを急激に変えなくて済むということです。

出典:http://www.carriageway.jp/column/chasm/index06.html

 キャズムを越える最も安全な方法は、全力を1カ所に集中することだとされます。ある特定の顧客層に向けてホールプロダクト(完全な製品)を素早く作り上げることが重要だといいます。

出典:http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/career/article.aspx?id=MMACz9000022012013

 市場全体を相手にしてはいけない最大の理由は、実利主義者であるアーリーマジョリティがほしがるのは百パーセントの解決策だからです。その前の初期市場を構成するアーリーアダプター(初期採用者)が「将来的に有用になる」ことを予想して製品に夢を抱いてくれるのとは違いがあることを認識すべきです。

出典:http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/career/article.aspx?id=MMACz9000022012013

(1)小さいながらも確実な足がかりを、メーンストリーム市場のどこか1カ所にできるだけ早く築く (2)メーンストリーム市場が開花したら、市場全体を意識した戦略を推し進めて、標準品として広く普及させる (3)再び顧客中心のアプローチに戻り、マスカスタマイゼーション(個別仕様の製品を大量につくる)を通じて、製品に付加価値を加える――の3つです。

出典:http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/career/article.aspx?id=MMACz9000022012013

まずは前提として、狙いをつけた顧客層にとってとにかく使いやすく、他社よりも魅力のある製品を作ることが重要とされます。
アーリーマジョリティはアーリーアダプターとは違い手間を嫌うので、例えば今持っている機械とは別のものを購入しなければならないとか、余計な入力や操作が必要なんてことになると、その時点で抵抗を受けてしまうのです。

更にレイトマジョリティまで浸透させよう、となると、更に使い勝手がよく簡単なものにしなければなりません。
アーリーアダプターは「これから使えるようになるもの」でも購入してくれる可能性がありますが、アーリ―マジョリティ以下になると「今すぐ簡単に使えるもの」でなければならないのです。

つまり、アーリーアダプター以上への宣伝方法は「こんなことができるようになりますよ!」で良いのですが、それ以下への宣伝は「こんなに簡単にできるようになりますよ!」を強調すると効果的、ということですね。

顧客の立場になって!キャズムの対策を考えよう

いかがでしょうか?売り手の立場になって考えると「顧客が欲しいものなんて完璧には分からない!」「元々興味がない人にまで広めなきゃならないのか……」と頭を抱えてしまうでしょうが、買い手の立場になると、キャズムの理論が分かりやすく思えてきますね。

誰でも使いやすく、他にはない魅力のある商品が欲しいと考えるもの。
今持っている携帯電話やパソコンは、一体どうやって知り、なぜ購入しようと思ったか?それを深く追求すれば、キャズムを超えるための秘策が見えてくるかもしれません。