美侍

「キャッシュフロー」ってなに?意味と使い方を教えて!

「キャッシュフロー」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?銀行にお勤めの方や、個人的に株式投資をされている方などには身近なワードでしょうが、普通に会社にいるとあまり親しみは感じませんよね。何となくお金に関わることだというのは分かるけれど……と首を捻ってしまうあなたのために、今回はキャッシュフローの意味と使い方について詳しくご紹介します!必要になった時のために、今から備えましょう。

「キャッシュフロー」とはお金の流れのこと!

「キャッシュ」は現金、「フロー」は流れ……つまり、単純にいえばキャッシュフローは「お金の流れ」を表す言葉です。
この単語を使っているものの中では、決算期の「キャッシュフロー計算書」が最も身近ではないでしょうか。

会社は決算のたびに貸借対照表や損益計算書など、取引先とのやり取りや収入、損失を分かりやすく照明する書類を作りますよね。
その際、会社の中での「お金の流れ」を示すために一緒に作成されるのが「キャッシュフロー計算書」なのです。

損益計算書が利益と損失を表しているのだから、キャッシュフロー計算書もそれと同じになるんじゃない?という声もあるかと思いますが、一体どう違うのでしょうか?見てみましょう。

キャッシュフロー計算書の現金残高と損益計算書の利益金額は、異なります。

出典:http://www.first-kessan.com/article/13603994.html

損益計算書の金額とキャッシュフロー計算書の金額が一致しないのは、それぞれの作成基準が異なるからです。損益計算書が、収益は、実現主義。費用は、発生主義という基準で作成されているのに対し、キャッシュフロー計算書は、現金の収入と支出に基づき作成されているからです。

出典:http://www.first-kessan.com/article/13603994.html

このため、キャッシュフロー計算書は、会社の経営実態をより反映した決算書である、といえます。

出典:http://www.first-kessan.com/article/13603994.html

損益計算書では、例えばまだ取引先から現金で回収されていない「売掛金」についても、収益として計上されます。
しかし、キャッシュフロー計算書はあくまでも「現金での収入」が収益として計上されますから、まだ回収できていない売り上げに関しては収入にならないのです。

ですから、損益計算書とキャッシュフロー計算書では利益の金額が違うこともあります。
「入る予定のお金」を含めずに、純粋なお金の流れだけを詳細にしたのがキャッシュフロー計算書だと考えるとよいでしょう。

C/Sは、企業の資金状況を表すために、期首と期末のキャッシュの増減内訳を、3区分(営業・投資・財務の各キャッシュ・フロー)に分けて表示します。

出典:http://www.jpanet.co.jp/article/14124098.html

C/Sは、キャッシュフロー計算書の略称です。(Cash flow Statementの略です)
キャッシュフローは大きく分けて「1.営業」「2.投資」「3.財務」の3つに分けられます。
この記事の最初に掲げた「キャッシュフロー計算書」をみると、この3つがしっかり区分けして書かれているのがわかると思います。

営業から投資を引いた金額は「フリーキャッシュフロー」、つまり会社が自由に使えるお金と見なすことができます。

さて次に、3種それぞれのキャッシュフローの意味について、細かく見て行きましょう。

1.営業キャッシュフローってなに? …本業で稼ぐお金の流れ

まず、「営業キャッシュフロー」について見ていきましょう。
営業キャッシュフローとは、会社が物を売ったり、サービスを提供したりして「本業」で稼いだお金のことを言います。
キャッシュフロー計算書における「営業キャッシュフロー」の欄は、1年間にその会社がどれほどの実益(現金収入)を得られるかどうかを表しているのです。

営業キャッシュフローの金額によって、その会社がどれくらい売り上げる努力をしているのかが分かりますから、株式投資をやっている方や、これから始めようと思われている方にとっても、投資先を判断する上で重要と言えます。

営業キャッシュフローがマイナスの会社は借入金の返済や新規の投資はもちろん、営業能力を維持するためにも借入金に頼らざるを得ないので、業績は悪化します。

出典:https://www.kessansho.com/general/study/03_03.html

営業キャッシュフローがプラスであることはよい会社の第一条件です。営業キャッシュフローが大きいほどフリーキャッシュフローも大きくなり、会社の経営は安定します。

出典:https://www.kessansho.com/general/study/03_03.html

営業キャッシュフローには細かい項目がいくつも並んでいますが、これらの項目を1つずつみる必要はありません。営業キャッシュフローは「業績」と「取引条件」に分けられます。業績を上げて、取引条件を改善すると営業キャッシュフローが増加します。

出典:https://www.kessansho.com/general/study/03_03.html

この項目の合計額がプラスの会社は、本業が順調に行っている証拠となります。逆にマイナスの会社は、本業で苦戦しており、現金不足で苦しんでいることがわかります。営業CFのマイナスが続く会社は、少し危険な会社と見てもいいでしょう。

出典:http://kabukiso.com/apply/zaimu/cashflow.html

売掛金(取引先からのツケ)は積極的に回収し、買掛金(取引先へのツケ)は信用を失わない程度にゆっくり回収する、という方法で、営業キャッシュフローを増やすことができるとか。
確かに売掛金は長い目で見れば収益ですが、回収できなければ資金にはなりませんから、そういった努力も必要かもしれませんね。

2.投資キャッシュフローってなに? …将来を見込んで動かすお金の流れ

続いては「投資キャッシュフロー」についてご説明します。
投資、と聞くと何だか株券を売買して配当を得たり利潤を得たり、という方の活動を連想してしまいますが、ここでの「投資」は「会社を運営するための支出」を言います。

より良い企業にするためには、新製品を作るため最新の設備を導入したり、社内環境を整えたりといった努力も必要ですから、この投資キャッシュフローについては、マイナスであっても構いません。
しかし、プラスだから将来を考えていないブラック企業だ!と判断してしまうのも、ちょっと早まりすぎのようです。

 投資CFとは、固定資産や株、債券などの取得や売却をした時の現金の流れを表します。通常、営業活動を行っていくためには、設備投資などの固定資産への投資が必要なため、優良企業は、この項目はマイナスであることが多いです。(お金を使った場合は、マイナスの表記となります。)

出典:http://kabukiso.com/apply/zaimu/cashflow.html

逆にプラスの場合は、会社が持っている設備や、株、債券などを売った金額が投資分を上回っていることを示しています。

 

出典:http://kabukiso.com/apply/zaimu/cashflow.html

ただし、バブル期の日本企業のように、なんでもかんでも投資を行なえば良いというのではなく、投資先の新規事業等の健全性や将来性、収益性等を十分に吟味した上であくまで必要な範囲内で健全な投資を行なうことが重要であることは言うまでもありません。

出典:http://cashflowstatement.biz/cf_006.shtml

⒈工場設備の充実や修繕といった現事業を維持していくために投資をする(現事業維持投資)
⒉新しい事業や新商品開発といった新規事業開拓のために投資をする(新規事業投資)
⒊株式投資や国債購入などでとりあえず余剰資金を運用する(余剰資金運用)

出典:http://cashflowstatement.biz/cf_006.shtml

投資キャッシュフローがプラスの場合は、手持ちの株や設備を売ったお金が意外と高かった、という理由も考えられるようです。

投資と一口に言っても、新規事業を開拓して更なる利益を狙うか、現状維持のために設備を整えるかなど、やり方によって見込みは変わってきます。
株の購入を検討する際には、投資キャッシュフローがマイナスかどうかだけではなく、その内容についても確認した方が良さそうですね。

3.財務キャッシュフローってなに? …資金調達や返済のお金の流れ

最後に「財務キャッシュフロー」についてです。
財務というのは、会社の予算を管理したり、資金を調達したりする活動のこと。
つまり、財務キャッシュフローというのは「投資する資金が足りなくなった時は、どのように調達したか」を表すのですね。

この項目に関しては、借金をして負債を背負うと逆にプラスになります。
会社の株を購入し、資金を提供してくれた株主に配当を行ったり、借金の返済を行ったりすればマイナスになりますから、プラスになっている場合は注意した方が良さそうです。

例えば、本業が不調で資金繰りが苦しい企業の場合は、一般的に銀行借り入れによりなんとか資金繰りをつけることになるため財務キャッシュフローがプラスになります。

出典:http://financial.mook.to/accounting/03/cf_23.htm

逆に本業が好調でキャッシュが豊富にある企業の場合は、稼いだキャッシュによって借入金を返済していくため財務活動によるキャッシュフローはマイナスとなります。

出典:http://financial.mook.to/accounting/03/cf_23.htm

また、本業が好調でキャッシュを多く稼いでいる企業であってもその稼いだキャッシュ以上の巨額の投資を行うために銀行借り入れや社債の発行などにより資金を調達した場合には、財務活動によるキャッシュフローがプスとなります。

出典:http://financial.mook.to/accounting/03/cf_23.htm

優良企業は、この項目はマイナスであることが多いですが、経営難にもかかわらず、金融機関に返済を迫られてやむなくマイナスとなるところもあるようです。また、積極的に成長を目指す企業は、借入金などの資金調達も多くなりがちでプラスになることがあります。

出典:http://kabukiso.com/apply/zaimu/cashflow.html

好調であっても、積極的に投資を行ったからプラスになる、ということもあるのですね。
株の購入を検討する際には、こちらも内容をよく見ておいた方が良さそうです。

「キャッシュフロー」の知識はどんな時に必要?

自分の会社のお金の動きや、他社のお金の動きなどをチェックするため、定期的に「キャッシュフロー計算書」を確認しておくのは大事なことです。

別に経理でもないし、仕事では直接関わらないもんな……と思う方も、例えば株を趣味でやってみたいとか、経営者になりたい、個人事業主になりたい、不動産に投資したいなどの展望があれば、キャッシュフロー計算書の見方や作成方法は、知っておいて損はありません。

キャッシュフローを詳しく勉強し、仕事や趣味に活かそう!

いかがでしょうか?キャッシュフロー(お金の流れ)と一口に言っても、様々な動きや内訳があるのですね。
キャッシュフロー計算書の内容や見方については何とか掴めそうですが、これを作成するとなると勘定科目の種類や使い方など、また別の勉強が必要になるでしょう。

しかし、今後の人生で経理や財務の仕事と絶対関わらないとは言い切れませんし、いずれは株を始めることもあるかもしれません。
少しでも興味が沸いたら詳しく勉強し、新たな趣味の発見や仕事に活かしてくださいね。