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ビジネスアイデアはどうやって生まれる?事例で見るブルーオーシャン戦略
問題点も指摘されるビジネス戦略ではあるものの、その思考法は必ずおさえておくべき「ブルーオーシャン」。ブルーオーシャンって何?という人も、アイデアの出し方を探っている人にもおすすめの記事です。任天堂やiPod、QBハウスなどの事例から、活用法をさぐってみましょう。
ブルーオーシャンって?
ブルーオーシャン、ブルーオーシャン戦略といわれます。
個人的なアイデアの発想から経営にいたるまで、いろいろな場面で適用できるビジネス戦略のひとつ。
フランスの大学院INSEAD(インシアード)の教授、W・チャン・キムとレネ・モボルニュによって提唱されたものです。
ブルーオーシャンは、コストを下げることで価値を上げる戦略
ブルーオーシャン戦略とは、ずばり、「コストを下げることでその商品の価値を上げる」戦略です。
そんなことできるか??と思ってしまうのは、既存の市場の常識に縛られているからです。
コストを下げながらその商品の価値を上げるには、新しい市場を開拓することが必要になります。
バリューイノベーション、つまり、今まで需要がないと思われていた価値を見つけることがポイント。
自らが競争相手のいない、独自の存在感をしめすことで、価値をどんどん生み出すことができる戦略なのです。
ブルーオーシャンのフレームワーク
…といっても、新しい市場がそうそう見つかるわけはありません。
ブルーオーシャンで成功するためのフレームワークをご紹介しましょう。
アクション・マトリクスという概念があります。
自分が闘いたい市場、業界において、「ちょっとずらす」ことがポイント。
●取り除く
●減らす
また、
●付け加える
●増やす
このアイデアを具体的に実行してみるのです。
たとえば、シルク・ドゥ・ソレイユもブルーオーシャン戦略でその価値を高め、サーカス業界において独自のネームバリューを得ることができました。
シルク・ドゥ・ソレイユのアクション・マトリクスとして挙げられるポイントはこちら。
●取り除いたもの
・花形パフォーマー
・動物のショー
・館内でのグッズ販売など、ファンに向けた明らかな親しみやすさ
●減らしたもの
・万人受けする笑いやユーモア
・明確すぎるストーリー
●付け加えたもの
・明確なテーマ性
・ビジュアルの洗練
・複数の演目
・大人向けの言葉、芸術性の高いダンス
●増やしたもの
・独自のテント
いかがでしょうか?
自分の個性を観察、分析して、業界における独自の路線を切り開くことが成功につながるようですね。
マーケティングの3Cを理解した上で、「ずらす」
ブルーオーシャンを成功させるためには、マーケティングの3Cをおさえた上で、独自の市場開拓を分析して実行していくべきでしょう。
マーケティングの3Cとは、
●顧客(Customer)
●競合(Competitor)
●自社(Company)
この3つの「C」が重なる部分にビジネスチャンスがあるといわれてきました。
この重なる部分はいわゆる「レッドオーシャン」といわれます。
競争の激しい部分ですね。
そして、ブルーオーシャンはここをちょっとずらすのです。
競合のいないエリアを攻めるためのアイデアを絞るということ。
なかなか難しいけれど、とてもやりがいのあることですよね。
どうしたらコストを下げながら自分たちの業界の価値を高められるか。
これをさまざまな立場に成り代わって考えることです。
ブルーオーシャン戦略が向いている企業、向いていない企業
ブルーオーシャンという戦略が向いている企業に挙げられるのは、「競争が激しい業界」。
ブルーオーシャンが向いていない企業は、競争がもともと激しくない業界、マーケティングやセールスに詳しくない人などです。
ブルーオーシャンはアイデア次第で成功する戦略ではありますが、やはり経験と「売る」スキルを持っていないと実行するうえでさまざまな壁が阻みます。
アイデアだけではなかなか成功は難しいでしょう。
まずはレッドオーシャンで場数をこなすことも大事。
その訓練として、社内での、自分のキャリアとしての「ブルーオーシャン」を突き詰めてみることも大切です。
自分の個性やウリを分析し、社内で代わりのない独自の価値を高めるということを、常に意識してみましょう。
任天堂のブルーオーシャン
任天堂のゲーム機Wii(ウィー)はまさにブルーオーシャンです。
開発スタッフは、ブルーオーシャン戦略の本を読み込んだうえで仕事をしていたそう。
任天堂はもともと、ソニーのプレイステーションなどと激しい競争の渦中にいました。
「子どもだけでなく、さまざまな世代にアピールできるゲーム機」
これがWiiのコンセプトです。
Wiiのこだわりは、Wiiリモコンでのさまざまな体験ができること。製造コストは低くおさえられました。
分かりやすい操作性、Wiiリモコンで遊ぶテニスやゴルフなどのゲームの販売などにより、大ヒット現象を招きました。
アップルのブルーオーシャン
アップルのブルーオーシャンとしてもっとも有名なのがiPod。
Windows95の発売によって、パソコン市場ではアップルはウィンドウズ陣営に完敗でした。
それが、2001年のiPodの発売以来、急速に市場を奪還したのです。
アップルは、個人が好きなときに好きな曲をダウンロードして聴くというスタイルに注目しました。
具体的には検索性を高めて新曲を見つけやすくすること、シンプルさに重きを置きます。
ネット社会における存在感を高め、コンテンツ(楽曲)の権利関関係などにかかわる問題解決においても、重要な役割を果たしてきています。
ブルーオーシャンの決め手は、競合を打ち負かそうとすることではありません。
顧客、自社にとっての価値を高めることにより業界の底上げを狙い、競争を無意味にすることです。
バリューイノベーションは、認知を工夫することで、価値の差異化をはかることから生まれるのです。
QBハウスのブルーオーシャン
髪のカットに10分で1000円。
このインパクトはすごかったですよね。
今までの理容室や美容院でできる、カラーリングやシャンプー、パーマ、そして洗髪などをすべてQBハウスは省きました。
QBハウスでできることはカットのみ。
髪をカットし終えたら、掃除機のような機械で服についた髪を吸い取ります。
時短、徹底的なコスト削減により、QBハウスは全国に店舗を増やしました。
ブルーオーシャン戦略のデメリット
ブルーオーシャン戦略にはデメリットもあります。
たとえば、任天堂はスマートフォンの台頭によって同じようなゲームアプリが世間に受け入れられたこともあり、業績が低迷しています。
このように、ブルーオーシャン戦略が使えるのは、あくまでも「新市場の開拓」。
開拓がすんだら、あとは競合がどんどん登場し、ブルーオーシャンだったところはレッドオーシャンになるのです。
最後に ブルーオーシャンの次の戦略は?
ブルーオーシャン戦略は「競争を意味のないものにする」という点で画期的な戦略ではありますが、インパクトの強い戦略だけにすぐに追随者が現れ、無効な戦略となるのも事実。
いつまでも独自路線でいられるわけはないので、次々に戦略を立て、実行していくことがポイントなのです。
他社の参入を防いだり、競争優位性を維持することを意識していくようになります。
ブルーオーシャンという戦略からわたしたちが学べること。
それは、この戦略を実行していくことにより、さまざまな視点を獲得していくことこそがビジネスマンにとっては大切だということではないでしょうか。