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正しく行えば評価UP!「お中元」の由来とマナーを徹底チェック
年末年始のお歳暮と同じように、夏にお世話になった方々に贈られるのが「お中元」。しかし、一体どのような意味を込めて贈られているのでしょうか?今回は「お中元って、上司に贈った方がいいのかな?」「取引先とお中元のやり取りとかあるのかな……」と悩むあなたのために、お中元の由来や適したタイミング、マナーなどを詳しくまとめてみました。これを読んでお中元をきちんと贈ると、周囲からの評価がぐんとUPする、かも!?
元々は罪を償う日!?お中元の起源は「道教」にあり
お中元の由来は、道教の「中元」という行事にあると言われています。
しかもこの道教の行事は「中元」だけではなく、「上元」と「下元」があり、三つをまとめて「三元」と呼ばれる行事でありました。
三元の日の日付は、
上元 ・・・ 正月十五日
中元 ・・・ 七月十五日
下元 ・・・ 十月十五日
この三元の日がいったい何かというと、道教の三官大帝(竜王の孫だ
そうです)という神様の誕生日だそうです。それぞれの神様はいったい何を
している神様なのかというと、
・天官賜福大帝(上元生まれ)のお仕事
諸天の帝王、高位の神仙、すべての星の神々を統括。
人間に様々な福を賜う。
・地官赦罪大帝(中元生まれ)のお仕事
土皇、四維八極の神々を統括。
人間の様々な罪を赦す。
・水官解厄大帝(下元生まれ)のお仕事
すべての水の神を統括。
人間の様々な厄災を解く。
といったお仕事を持った神様です。
中元は仏教のお盆と同じ日に行われ、元々は「人間が今までの罪を償う」「神様がその罪を赦す日」という意味がありましたが、お盆が死者のための行事だったことから、中元は「生きる喜びを実感する日」として徐々に姿を変えていきました。
そうすると親戚や知人に挨拶周りを行う日、になったのですが、縁が繋がるごとに数が増えいちいち訪問することは難しくなってきたため、段々贈り物で代用するようになったのですね。
お中元の時期は地域によって異なり、関東なら7月初旬から中旬、関西なら7月中旬から8月中旬、九州の場合は8月初旬から中旬にかけてが望ましいとされています。
遅くとも8月中旬までには贈るようにしたいですね。
相場は3000円から5000円程度で、社会人になりたてなら3000円前後でも問題ないということです。
お盆と同日に、昔は道教の「中元」という、罪を償うための行事が行われていた!
古代に中国から伝わった7月15日の中元の日は、贖罪(とくざい・しょくざい)・・・つまり、今まで犯した罪を償う日として、その日一日、庭で焚き火をする習慣がありました。
そして、7月15日は、もう一つ・・・孟蘭盆会(うらぼんえ・お盆)という行事があります(8月13日参照>>)。
地方によっては、1ヶ月遅れの8月に行いますが、記録によれば推古天皇十四年(606年)、7月13日~16日にかけて、宮中で初めてお盆の行事が行われています。
しかし、お中元の行事は徐々に「生きている喜びを祝う」ものに変わった!
つまり、昔々の時代には、お盆の行事とお中元の行事が、同じ日に平行して行われていたのです。
やがて、室町時代になると、お盆の行事が死者を迎えて、その魂を供養するのに対し、お中元の行事は「生身玉」あるいは「御めでた事」と呼ばれ、「今生きている事を喜ぶ」「無事を祝う」という、生きている人のための行事に変わっていきます。
朝廷や武家の間では、親戚や知人の家に訪問し合って、交流を深め、お互いの無事を喜ぶ・・・といった事が盛んに行われるようになるのです。
親戚や知人の家への訪問が贈り物になり、やがて現在のお中元に!
やがて、江戸時代になると、その風習はもっと盛んになりますが、そうなると、交際範囲の広い人は、中元の日の一日だけでは対応しきれなくなってきます。
・・・かと言って、知らん顔するわけにはいきませんから、そういう人は中元の日の前後に、贈り物をしたり、手土産を持って挨拶に行くようになるのです。
江戸時代のお中元の人気商品はうどんやそうめん・・・やはり、お盆の時にお渡しするのが理想とされていました。
明治維新後は、使者を使って贈り物を届けて礼をつくす・・・といった形になり、その期間も7月の上旬頃から・・・と、現在のような形になっていきます。
そして、いつしか、その贈り物の品物自体の事を中元と呼ぶようになり、本来の意味は歴史の彼方に消え去り、「親しい人、お世話になった人にお中元を贈る」という事になったわけです。
時期は地域によって7月初旬~8月中旬!
基本的に夏の季節に入る際に贈るのが
お中元のマナーですが、実は地域によ
って若干時期が異なります。
関東であれば7月初旬~中旬
関西であれば7月中旬~8月中旬
九州であれば8月初旬~中旬
というように少しずつ東から西にかけて
贈る時期が遅いことが分かると思います。
相場は3000円~5000円程度!
値段としては、平均相場としては
3000~5000円前後が良いでしょう。
若いビジネスパーソンであれば3000円
前後でも問題ないと思います。
上司や取引先には贈るべき?お中元の必要性とは
さて、気になるのが「上司や取引先にお中元はした方がいいの?」という問題です。
これについては、昨今では余計な儀式を省くという目的で、歓迎されない企業が多くなっているのだとか。
暑中見舞いや残暑見舞いはお手紙なのでまだ良いですが、お中元は品物、つまり金品として見なされますから、扱いが厳しいのですね。
特に公務員の場合、仕事の関係者から受け取るのは「絶対禁止」となっていますので、迷惑にならないよう控えましょう。
ただし、昔は必ずお世話になった方にお中元を贈る習慣があったように、未だに行っている企業もあるようです。
まずは先輩や上司に「うちの会社、お中元はどうされてますか?」と尋ねてみましょう。
ちなみに、お中元は一度贈ると毎年贈らねばならないとのことですから、注意しておいてくださいね。
贈る前に、必ず上司や先輩に「お中元を贈りたいんですが」と必ず確認!
新入社員のあなた、一度先輩に聞いてみてください。
「うちの会社にお歳暮を贈る習慣はありますか?」
と。
なんで???
実は最近ではお中元を禁止している会社もあるんですよ。
それを知らずに贈ってしまったら、受け取る相手はどうしましょう?
感謝を表してくれているのに受け取ることが出来ません・・・
そうなんです。
なのでまずは自分の会社がどうしているか聞くのが先決です。
上司や先輩に対する感謝の意があるのであれば
お中元・お歳暮の時だけ出なく日頃からそれを示すほうが良いと思いますよ。
つまり毎日一所懸命仕事を頑張ることが、尊敬する上司・先輩に対する
感謝の意に値するんです。
最近では「儀礼禁止」の職場も多い!お中元は「贈答品」なので特に注意が必要
民間企業の場合、一昔前までは会社の取引先や職場内でお中元やお歳暮を贈り合うのが一般的でした。今は「儀礼禁止」として、贈答を会社で禁止・廃止する所も増えてきています。
特に大手企業になると厳しく、社内社外含めて贈答禁止となっている場合が多いです。
特に公務員の場合、仕事で関わる相手からの贈り物は受け取れない!
公務員は利害関係者から金銭・物品の贈与を受け取ることが禁止されています。
その為、お中元やお歳暮を受け取ることができません。
ただし利害関係者以外であれば、通常の社会儀礼の範囲内でお中元やお歳暮を受け取れます。
例えば親戚や親しい人からの贈答ならば大丈夫。職場内など公務員同士で贈答を行なっている所もありますが、現在は少なくなっているようです。
利害関係者とは、倫理規定で「許認可などの相手」「立入検査などの相手」「契約の相手」など、担当する仕事相手を指します。
一般的に公務員という立場上、贈答を控える人が大半で「贈ったり頂いたりしたことは無い」と言う人も多いです。
禁止されていない場合も、一度贈ったら毎年贈るのがマナー!覚悟しておこう
お中元は1度贈った上司には毎年贈るのがマナーだそうです。
去年は贈ったけど今年は贈らない、というのは失礼ですし、贈られていた側も「あれ?今年はないのかな?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
1度贈ると決めたなら、毎年欠かさずに贈るようにしましょう。
贈る時の注意点はなに?お中元のマナーあれこれ!
もしお中元を贈る場合、いくつか気を付けておきたいマナーがあります。
まず、お中元には「のし紙」が必要です。
紅白の5本、または7本の線が蝶結びになっているデザインののし紙を使い、結び目の上に「お中元」、下に自分の名前を書き入れましょう。
基本的には、購入した店舗で「お中元用なんですが」と言えば対処してもらえるはずです。
本来は直接持参するものですが、昨今ではなかなか顔を合わせられないからこそお中元で……という方も増えていますから、その場合は郵送の際に挨拶状を同封しましょう。
お店で「箱に同封はできません」と言われたら、後から届くようにしても構いません。
ちなみにお中元は喪中でも贈れますから、時期を逃した場合は暑中見舞い、残暑見舞いとして贈ります。
頂いた時のお返しは必要ありませんが、お礼状だけは必ず書いて出すようにしてくださいね。
のし紙は紅白!「花結び祝い」のものを使おう
お中元の贈り物に掛ける「のし紙」は、紅白(赤と金色で印刷されている)の5本(又は7本)花結び(蝶結び)に熨斗が付いたデザイン(通称=花結び祝い=一般お祝い用)のものを用います。表書きは濃い色の墨を用いて楷書体で書くのが基本ですが、献辞(上書き)は水引中央結び目の上に「御中元」と書き、名前書きは水引中央結び目の下に献辞よりやや小さめにして「フルネーム」で書き入れます
直接持参できない場合は郵送でも可!挨拶状を添えるか、後で送ろう
本来は事前に訪問時間を打ち合わせて先方宅に直接持参するのが習わしですが、昨今では互いの都合もあって余程の場合を除いてはデパートなどから直送したり宅配便を利用することが一般的になってきています。身内や友人に送り届ける場合は電話で伝える程度でも差し支えありませんが、日頃大変お世話になっている方々に送り届ける場合は贈り物に挨拶状を付けるか、届く頃を見計らって手紙か葉書による挨拶状を送るようにするのが礼儀です。
直接持参する場合は食事どきを避けて!訪問マナーに気を付けよう
●風呂敷に包んで持参するのが正式なマナーですが、遠方であったり忙しかったりとの理由から、最近は宅配便で送るケースも増えてきました。
●持参する場合
◎早朝や食事どきは避け、午前10〜11時、午後14〜16時くらいに訪問します。
◎事前に相手の都合をうかがわずに急な訪問をする場合には、玄関先で御中元をお渡しし、すぐに失礼するのがマナーです。
お中元は喪中でもOK!気になるようなら先方に確認を
お中元はお祝いごとの贈り物ではなく、普段お世話になっていることに対する感謝の気持ちを贈るものであることから、当方又は先方のいずれか(又は双方)が喪中の場合であっても、お中元を贈りあうことは一向に差し支えないことになっていますが、忌中(仏教では忌明け法要前、神道では忌明け祭前)の場合やどうしても気になる場合は、事前にお断りを入れて先方の了解を得た上で、時期をずらして暑中見舞い(土用の入り以降立秋まで)や残暑見舞い(立秋以降)の形で贈る方法もあります。
万が一期間を逃したら、暑中見舞い、残暑見舞いとして贈る!
以前は、東日本においては7月初めより中頃までの間を、西日本では1ヶ月遅れの8月初めより中頃までの間を贈答時期としていましたが、現在ではいずれの地方も7月初めより中頃まで(土用の入り前までに)の期間内に贈ることが一般的になってきています。うっかり忘れて時期を逸した場合には暑中見舞い・残暑見舞いとして贈ります。
何とお返しは不要!お礼状はしっかり書いて送ろう
日ごろお世話になっているお礼として贈られるお中元は、基本的にお返しは必要ありません。ですが、贈ってくれた方に対するお礼状は必ず書きましょう。
お礼状を出す目安はお中元の品が届いてから一両日中(一日から二日の間)といわれています。
ついつい電話やメールでお礼をしがちですが、よっぽど親しい間柄以外ではマナー違反となります。きちんとお礼状を書きましょうね。
お中元におすすめの品は?定番アイテムと注意点をチェック
最後に、お中元ってどんなものを贈ったらいいの?と悩むあなたのために、定番商品やNG商品をご紹介します。
まず、お中元は目上の方、お世話になった方に贈るものなので「踏みつける」という意味のある靴や、時計や筆記具などの「勤勉に励みなさい」という意味になるものを選んではいけません。
また、直接お金に繋がる商品券や、異性の方に装飾品を贈るのもやめた方がよいでしょう。
夏場なので、おすすめなのはお酒やジュース、ハム、焼き菓子など日持ちのするもの。
涼しげなゼリーも定番かつ、喜ばれやすい商品です。
どうしても好みが分からない!という時の心強い味方に「カタログギフト」もありますので、迷ったらぜひご活用ください。
靴や装飾品、商品券などはNG!目上の人には時計や筆記具もダメ
贈り物を贈る際には、「踏みつける」というような意味を持つ靴や下駄などの履物類を贈ってはいけません。
また、自分よりも目上の方に贈る場合には、時計や筆記用具などは贈ってはいけません。
この筆記用具などに、勤勉奨励の意味があるからだといわれています。
『お中元は個人的、お歳暮はビジネス的要素が強い』
ということに関係してくるからどうかは定かではありませんが、
お中元には現金は商品券を送るのは避けたいところ。
また、身内以外の異性に対して、
肌着やアクセサリーなどの趣味趣向性の高いものを送るのは
お中元、お歳暮のどちらもNGです。
お酒やジュース、ハムなど、保存のきくものが定番!
>ビールなどのアルコール類
>ジュース
>煎餅などのお菓子
>スイーツ
>コーヒー
>ハム
など、保存のきく物が定番です。
迷ったら、間違いないのは「カタログギフト」!
そして品物としては、夏の熱い時期とい
うこともあってやはり日持ちするものが
オススメとして挙げられます。
食べ物飲み物系、生活用品系、そして最も
オススメなのが、カタログギフトです。
お中元って、あの方にはこのお品物をなどと決まっていることもありますが、今年はどんなものにしようかな…と迷うこともあります。
迷ったらグルメなカタログギフトもいいですね。全国からグルメな逸品が集められたグルメカタログ。お相手の方に『食べたい!』と思う食べ物を選んでもらえるので喜んでもらえます。選ぶ楽しみもありますしね。
マナーをしっかり守って、喜ばれるお中元を贈ろう!
いかがでしょうか?お中元は今の若い世代の間ではあまり聞かれなくなった風習ですが、奨励されている企業では逆に「若いのに偉いな」と見直されるポイントでもあります。
しっかりとマナーを守り、相手方の好みや事情などを考慮して、日頃の感謝の気持ちを伝えましょう。
自分の会社では禁止だった……という場合でも、この機会に離れて暮らすご両親や恩師などに贈れば、きっと喜ばれると思いますよ。